初の世界選手権で決勝の舞台に挑む小武芽生

新女王が誕生。小武は4位、野口8位/IFSCクライミング世界選手権2018【女子リード】

 9日、オーストリアのインスブルックで開催中の世界選手権2018で女子リード決勝が行われた。優勝は前回覇者のヤンヤ・ガンブレット(スロベニア)を破ったジェシカ・ピルツ(オーストリア)で、世界選手権初制覇。日本勢から決勝に進んでいた小武芽生が4位となり、野口啓代が8位に入っている。

 テトリスを模して配置された序盤のルートが目を引いた決勝は、約4,000名もの観客が詰めかけたなかで行われ、準決勝で同率7位が4名となったことから通常より2名多い10名で争われた。先陣を切ったのは、世界選手権初出場にしてファイナルへ進出したラウラ・ロゴラ。若干17歳のイタリア人クライマーは、多くの歓声を受けながらテトリスルートを越えるも、中盤の24+でフォールする。続いて登場したのが、こちらも世界選手権初出場で最終ラウンドにたどり着いた小武芽生。最低でも越えたかったロゴラの高度を落ち着いた登りで通過していくと、高度30付近のダイナミックなムーブでは観客から大声援が上がり、最後は33+まで記録を伸ばして競技を終了した。

 その後はハンナ・シューベルト(オーストリア)、野口啓代、ミア・クランプル(スロベニア)が立て続けに31+でフォール。野口はフットホールドで足を滑らせてしまったため、悔しい結果となった。同高度に3人が続いた後に登ったのが6番手の白石阿島。直前のリードW杯アルコ大会では21位、初出場となったボルダリングW杯(ミュンヘン大会)では23位と、調子を落としていたかに見えたが、彼女も初出場となった世界最高峰の舞台で奮闘。3人を上回る32でフィニッシュする。7番手のアナーク・バーホーベン(ベルギー)はまたも31+に終わったため、33+の小武が暫定首位のまま、残すは3名となった。

 その3名は、2大会前の世界女王キム・ジャイン(韓国)、今季リードW杯で年間暫定2位のジェシカ・ピルツ(オーストリア)、そして前回大会覇者であり、リードW杯で2年連続年間女王に輝いているヤンヤ・ガンブレット。トップクライマーによる激しい戦いは、先に登るキムが小武を越える34+を記録し暫定首位に躍り出る。しかし、次のピルツがみるみる高度を上げてキムの記録を抜き去り終盤に突入すると、観客たちは高度をあげるごとにヒートアップ。最終ムーブのランジを見事に決めて、決勝ルート初の完登者となった。

 優勝するには、前ラウンドの準決勝でピルツと順位が同じため、ピルツの記録した完登時間4分27秒未満でルートを攻略することが条件のガンブレットだったが、プレッシャーを感じさせないクライミングを披露。ピルツに続き、最後まで登り切ることに成功した。しかし、記録したタイムは4分38秒で、女王の座まで11秒足りず。地元の大観衆の前で、今季リードW杯で唯一ガンブレットに黒星を付けているピルツが、僅かの差ながら再びその牙城を崩してみせた。

優勝への一手を決めにいくジェシカ・ピルツ(写真=Sytse van Slooten/IFSC)

表彰台=(左から)ヤンヤ・ガンブレット、ジェシカ・ピルツ、キム・ジャイン(写真=Sytse van Slooten/IFSC)

 

<決勝>

1位:ジェシカ・ピルツ(21/オーストリア)/TOP
2位:ヤンヤ・ガンブレット(19/スロベニア)/TOP
3位:キム・ジャイン(29/韓国)/34+
4位:小武 芽生(21)/33+
5位:白石 阿島(17/アメリカ)/32
6位:アナーク・バーホーベン(22/ベルギー)/31+ ※準決勝1位
7位:ミア・クランプル(18/スロベニア)/31+ ※準決勝6位
8位:野口 啓代(29)/31+ ※準決勝7位
8位:ハンナ・シューベルト(20/オーストリア)/31+ ※準決勝7位
10位:ラウラ・ロゴラ(17/イタリア)/24+
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16位:野中 生萌(22)※準決勝進出

※左から氏名、年齢、所属国、決勝成績

リザルト詳細は国際スポーツクライミング連盟/大会ページから
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CREDITS

編集部 / 写真 窪田美和子/アフロ

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