楢崎智亜「3種目で勝ちにいく」。最高峰の戦い、世界選手権へ向けて日本代表が出発
3日、スポーツクライミング最高峰の大会で2年に1度開催されるIFSCクライミング世界選手権(9月6日~16日)に向け、日本代表選手団が開催地のオーストリア・インスブルックへと出発した。今シーズンのボルダリングW杯で年間女王に輝いた野中生萌や、2年前の世界選手権で日本人初優勝を果たした楢崎智亜らが出国前の羽田空港で取材に応じた。
今回の世界選手権では、2020年東京オリンピックで採用されるコンバインド種目が大会初実施される。安井博志ヘッドコーチが「コンバインドで金メダルを含む複数のメダル獲得を目指す」と目標を掲げたが、選手たちの意識も高い。先日のアジア競技大会でコンバインド種目に出場した楢崎智亜は「3種目で勝ちたい」と話し、同大会で金メダルを獲得した野口啓代も「今の自分の3種目での立ち位置をしっかり把握してくることが重要だと思っている」とコメントを残した。
野口啓代コメント
「アジア競技大会でコンバインドに出場して、やっぱり自分の得意な競技で良い順位を取らないと優勝は厳しいと思いました。苦手な種目の順位を上げるというよりも、得意なボルダーで確実に1位を取りにいくことが大事になってくる。(シニアの世界大会でコンバインドは実施されていないので)世界の中で自分がどのくらいの位置にいるのか、まだ誰も分からないはず。来年、再来年に向けて、今の自分の立ち位置をしっかり把握してくることが重要だと思っています」
楢崎智亜コメント
「アジア競技大会後は溜まっていた疲労を抜いて、(世界選手権のコンバインドに向けて)ボルダリングの手数を増やしたナガモノをこなして持久力を高めるトレーニングをしてきました。(ボルダリング2連覇が懸かるが)今は3種目で勝ちたいと思っているので、そこまで2連覇にこだわってはいないです。もちろん、ボルダリングでの優勝も重要だと思っています。アジア競技大会のコンバインドではスピードで足が滑って負けてしまったので、絶対にミスをせずにしていきたいです」
野中生萌コメント
「(W杯年間女王となって迎える世界選手権だが)特にプレッシャーは感じていなくて、緊張もそこまでない。本当に楽しみだなという感じです。一番狙っている種目はボルダーですね。2年前の世界選手権でも優勝を狙っていたんですけど、あまりマークしていなかったペトラが優勝をして、それのリベンジというか。複合は世界レベルで戦ったことがないので、どうなるか分からないですけど、表彰台は狙っていきたいですね」
楢崎明智コメント
「2年前の世界選手権では緊張しすぎて、待機エリアでずっと震えていました。そんなときに(兄の)智君が肩をポンと叩いて『頑張れよ』ってしてくれたのを覚えています。その後に経験を積めたこともあって、今回は全く緊張はないですね。大会はリードの予選からはじまるので、そこで結果を出して良い流れを作るためにもリードの練習を多くしてきました。そして頑張ってコンバインドの決勝に残りたいと思っています」
安井博志ヘッドコーチコメント
「(アジア競技大会での手ごたえは)韓国がW杯のベイル大会、ミュンヘン大会を欠場してまで望んできた一方、我々は連戦というタフな流れで臨み、そのなかで3つのメダルという結果を得られたのは大きな収穫でした。世界選手権での目標は金メダルを含む複数のメダル獲得です。コンバインドを意識して選手編成をしたので、特にコンバインドにおいて金メダルを含む複数のメダルを目指していきたい。もちろん単種目に出る選手たちもいますので、その選手たちには金を狙えと話しています」
CREDITS
取材・文・写真 編集部