野口啓代が金メダル!男子でも銀、銅/アジア競技大会2018
26日、インドネシアのジャカルタ、パレンバンで開催中の第18回アジア競技大会で、今大会から正式競技に採用されたスポーツクライミングのコンバインド種目男女決勝が行われた。女子は野口啓代が金メダル、男子は藤井快が銀メダル、楢崎智亜が銅メダルを獲得し、日本勢は3つのメダルを獲得した。
今大会、スポーツクライミングにはスピード、スピードリレー、コンバインドの3種目計6個の金メダルが用意された。日本からはボルダリングW杯ミュンヘン大会を終えたばかりで疲労も考慮されるなか、野口、伊藤ふたば、楢崎、藤井の合計4名がスピードとコンバインドにエントリー。23日に行なわれたスピードでは、インド、インドネシア、中国などの強豪が揃う中で日本勢のメダル獲得はならず。そして同日のスピードを皮切りに東京2020オリンピックの実施フォーマットであるコンバインド種目の予選がはじまり、24日にボルダリング、25日にリードが行われ、26日の決勝では6名のファイナリストが1日間で3種目を行なった。
女子予選では野口が3位(スピード11位、ボルダリング3位、リード2位)、伊藤ふたばが6位(スピード9位、ボルダリング7位、リード4位)につけて決勝に進出。まず行われたスピードでは、11秒77だった野口が10秒28をマークしたアセル・マーレノヴァ(カザフスタン)に敗れて6位と苦しいスタート。同じく第1ラウンドで敗れた伊藤は敗者の中で最速タイムだったため復活し、3位決定戦まで進んだが4位。安定した登りでマーレノヴァを退けたサ・ソル(韓国)が1位につけた。ボルダリングでは、負けられない野口が唯一の全4課題完登と貫禄を見せる1位(総合2位)で巻き返す。伊藤も野口に次ぐ3完登で2位(総合3位)、サ・ソルは2完登の4位で総合1位をキープした。
最終ラウンドのリードでは、この種目を得意とする2番手のキム・ジャイン(韓国)が残り6秒で完登。4番手の伊藤は強傾斜の難所を攻略できず、終盤に差し掛かる36+でフォールした。続く野口はその難所を登り切るが、終盤のスローパーを止めきれず40+の暫定2位(総合1位)で終えた。これで金メダルには2位以上が必要となったサ・ソルは、焦りから難所の強傾斜でホールドを掴み損ねて37+で落ちて3位。これにより総合で野口とサ・ソルが12ポイントで並んだが、ボルダリングとリードの2種目で順位が上の野口がアジア大会初代金メダリストとなった。伊藤は4位に終わっている。
続いて行われた男子では、楢崎が1位(スピード6位、ボルダリング1位、リード1位)、藤井が4位(スピード17位、ボルダリング6位、リード2位)で予選を通過する。第1種目のスピードではライバルのチョン・ジョンウォン(韓国)と対峙した楢崎だったが、リードしながらも最後のフットホールドを踏み外す痛恨のミス。3位決定戦でもミスが重なり4位、藤井は準々決勝で負けて5位と出遅れてしまう。続くボルダリングでも楢崎とチョンのW杯年間王者経験者同士が激しくぶつかり合う。互いに2完登で迎えた第3課題。楢崎が得意のダイナミックな課題を2トライの完登で会場を沸かせると、チョンがこれを一撃。第4課題も2人揃って完登し、全完登の一騎打ちはアテンプト差でチョンに軍配が上がった。藤井も1完登ながら3位につけた。
2種目が終わって楢崎が3位、そして藤井は5位と不利な状況に追い込まれてしまったが、突出した選手がいないリードにはチャンスがあった。2番手を登る藤井は終盤に差しかかる32+で力尽きると、後続のキム・ハヌル(韓国)、楢崎が連続で28+でフォール、そして最後を登るチョンも28+にとどまり、藤井はリードで1位となって、総合でリシャト・ハイブリン(カザフスタン)、楢崎を逆転して銀メダルを獲得。楢崎は銅メダルとなった。
シニアの国際大会としては初めてオリンピックフォーマットのコンバイドが実施された第18回アジア競技大会。韓国勢が直前に行われたボルダリングW杯ミュンヘン大会をキャンセルしてまでこの大会に照準を合わせてきた中で、そして東京オリンピックのアジア前哨戦ともいわれる今大会で、日本勢は2020年に繋がる確かな結果を残した。
<コンバインド女子決勝>
1位:野口 啓代
12ポイント(S 6位/B 1位/L 2位)
2位:サ・ソル(韓国)
12ポイント(S 1位/B 4位/L 3位)
3位:キム・ジャイン(韓国)
15ポイント(S 5位/B 3位/L 1位)
4位:伊藤 ふたば
32ポイント(S 4位/B 2位/L 4位)
5位:アセル・マーレノヴァ(カザフスタン)
72ポイント(S 2位/B 6位/L 6位)
6位:ホンイン・リー(中華台北)
75ポイント(S 5位/B 5位/L 5位)
<コンバインド男子決勝>
1位:チョン・ジョンウォン(韓国)
6ポイント(S 2位/B 1位/L 3位)
2位:藤井 快
15ポイント(S 5位/B 3位/L 1位)
3位:楢崎 智亜
16ポイント(S 4位/B 2位/L 2位)
4位:リシャト・ハイブリン(カザフスタン)
24ポイント(S 1位/B 4位/L 6位)
5位:キム・ハヌル(韓国)
60ポイント(S 3位/B 5位/L 4位)
6位:チー・ファン・アウ(香港)
180ポイント(S 6位/B 6位/L 5位)
※選手名下段は各種目を掛け合わせた複合ポイント(S=スピード、B=ボルダリング、L=リード)。
リザルト詳細は大会公式サイトから
CREDITS
文 篠幸彦 / 写真 長田洋平/アフロスポーツ