16歳の新鋭が強豪を抑え初優勝。男子では原田海が圧巻のパフォーマンス/ADIDAS ROCKSTARS TOKYO 2018

 8月4・5日、マルチスポーツブランドのアディダスが主催するボルダリングコンペ「ADIDAS ROCKSTARS TOKYO 2018」が、B-PUMP荻窪(東京都・杉並区)で開催された。第3回目となる今大会はトップクライマーらによるROCKSTARSクラス、一般参加対象のBE A ROCKSTARSクラス、次世代を担うヤングクライマーによるROCKSTARS Jr.クラスの3クラスで行われ、今回から9月にドイツで開催される本戦への出場権に加え、優勝者には賞金100万円が送られる。前回よりも大きくスケールアップした大会で、多くのクライマーたちが熱戦を繰り広げた。

 DAY1となる4日はBE A ROCKSTARSクラスとROCKSTARS Jr.クラスの準決勝・決勝が行われ、BE A ROCKSTARSの男女上位6名、ROCKSTARS Jr.の男子優勝者、女子上位3名がROCKSTARSクラス準決勝への出場権を獲得した。

 迎えたDAY2となる5日、午前の部では小学生が対象の「KIDS CLINIC」を開催。前半ではリードW杯で2度の年間王者に輝いた安間佐千が講師となり、小学校低学年の子どもたちにレッスンを施した。後半は野中生萌、藤井快、緒方良行の3人にバトンタッチし、小学校高学年の子どもたちをレクチャー。3人のアドバイスを受けると子どもたちはみるみる上達し、最初は難しかった課題も次々と完登していった。レッスンの最後には3選手が高難度課題にチャレンジし、トップクライマーの登りに目を輝かせる子どもたちの姿が印象的で、まだまだ登りたいとはしゃぐなか、KIDS CLINICは終了した。

はじめに講師役として登場した安間佐千。

新たにアディダス契約選手となった緒方良行(写真右)も藤井快とともにレクチャー。

そして野中生萌の計4名が熱心に子どもたち指導した。

 午後からはDJ TOSHIKIの奏でる音楽で会場が盛り上がるなか、ROCKSTARSクラスの準決勝がスタート。午前の部にも登場した野中、藤井、緒方のほか、男子は原田海、高田知尭、渡部桂太などボルダリング日本代表選手たちがずらりと並び、女子も伊藤ふたば、加島智子、中村真緒、平野夏海などが名を連ねた。W杯同様のベルトコンベア形式で行われ、大いに会場を沸かせた原田と藤井の2人が4課題すべてを完登。女子でも野中が唯一の全完登で、現在ボルダリングW杯の年間順位1位を走る貫禄を見せつけて決勝進出を決めた。

 準決勝後、ADIDAS ROCKSTARSではお馴染みとなったライブパフォーマンスに今年のフジロックフェスティバルへ出演を果たしたエクスペリメンタル・ソウルバンドの「WONK」が登場。ジャズベースのメロディーと伸びやかな甘いボーカルで観客を魅了した。そして会場の熱が冷め止まぬまま、スーパーファイナル進出をかけた決勝が男女同時スタートで始まった。

注目のライブバンド「WONK」が会場を魅了した。

 決勝第1課題、女子は7人中6人が一撃で並ぶ一方、男子はゾーン止まりが連続する難関となったが藤井が3トライで完登し、原田が一撃と準決勝上位2人が一歩抜け出した。第2課題は女子で明暗が分かれる。先頭から番場香月、北脇順子、中村と3連続でスタート直後のランジを攻略できない中、4番手の平野が「ランジは苦手」としながら、「絶対に止めてやる」と3トライ目で攻略。あとに登る小池はな、伊藤、野中もゾーンを掴めず、平野がただ1人完登して大きくリードした。男子は藤井、原田が連続の完登を決め、渡部と昨年スーパーファイナリストの山内誠もTOPを掴み食らいついた。

 最終となる第3課題。2完登でリードする平野を追いかける女子は、3番手の中村が一撃に成功してプレッシャーをかける。しかし平野は苦戦しながらも5トライ目で完登し、文句なしの全3完登でスーパーファイナル進出を決めた。その後の伊藤、野中が一撃すると、3人が2位で並び、準決勝1位の野中がカウントバックで勝ち抜けとなった。男子はスタート直後のガストン(観音開きのような持ち方)で止めるムーブを山内が会場を沸かせるフィジカルで完登する。しかし、藤井と原田も完登し、2人が全3完登で最終ステージ進出となった。

 大会を締めくくるスーパーファイナルは、時間無制限で同じ課題を登り、先にTOPを掴んだ方が勝ちというデュアル方式。先に行われた女子ではスタートから野中がややリードし、TOPを左手で掴む。しかし、遅れていた平野が素早いゴール取りで迫り、なんと2人がほぼ同時に一撃した。会場もまさかの展開にざわつくと、審議の結果、平野がわずかに早く両手で掴んでいた。「まさか勝てると思っていなかったのでめちゃくちゃ嬉しいです」と、16歳になったばかりの今季リード日本代表はドラマチックな優勝の喜びを語った。
 
 劇的な女子の直後に行われた男子は素早いスタートを切った原田に焦ったのか、藤井が途中でフォールしてしまう。リードした原田はそのまま一撃して勝負あり。準決勝から終始安定感のある登りですべての課題を完登した原田は「明日出発するモスクワでの世界ユース選手権に向けた調整がうまくいっていて、すごく調子がよかった」と優勝の要因を挙げ、「世界ユースに向けて良い弾みになりました」と笑顔を見せた。

 今年もクライミングと音楽の融合を見事に表現し、男女ともにハイレベルな大会となったADIDAS ROCKSTARS TOKYO 2018。9月にドイツで開催される本戦でも、日本勢の活躍が期待される。

伊藤ふたばはROCKSTARクラス3位に終わった。

惜しくも優勝を逃した野中。

野中、伊藤らを抑えての優勝となった平野夏海。今季はじめて出場したリードW杯ブリアンソン大会では予選を9位通過するなど今後が期待される1人だ。

決勝第2課題でランジを決める平野。

ROCKSTARクラス男子優勝の原田海。準決勝からの全7課題を完登するなど、圧巻のパフォーマンスをみせつけた。

 

<決勝リザルト>

ROCKSTAR Jr.クラス/男子
1位:阿部 昇悟/2t3z 3 8
2位:篠沢 諒/2t3z 6 6
3位:高橋 実来/2t3z 6 7
4位:小俣 史温/2t3z 7 7
5位:通谷 律/2t3z 7 8
6位:安楽 宙斗/2t2z 8 4
7位:内木 智/0t2z 0 5
8位:隅谷 樂/0t1z 0 8

ROCKSTAR Jr.クラス/女子
1位:小池 はな/2t3z 4 4
2位:石井 みしか/1t3z 3 9
3位:長谷川 颯香/1t2z 2 3
4位:大澤 苺花/0t2z 0 2
5位:竹内 亜衣/0t2z 0 4
6位:伊東 そら/0t2z 0 8

BE A ROCKSTARクラス/男子
1位:佐々木 政明/3t3z 8 8
2位:中村 颯人/3t3z 10 9
3位:追田 樹波/3t3z 11 7
4位:塚田 遼河/2t3z 5 4
5位:番匠 大樹/2t3z 7 8
6位:竹田 創/2t3z 11 12
7位:安藤 圭人/2t2z 4 3
8位:小宮山 敦士/0t1z 0 2

BE A ROCKSTARクラス/女子
1位:番場 香月/3t3z 3 3
2位:中里 渓夏/1t2z 1 4
3位:坂井 絢音/1t2z 1 7
4位:林 まりな/1t2z 2 3
5位:小暮 花/0t3z 0 6
6位:川端 彰子/0t2z 0 3
7位:藤本 明日香/0t1z 0 1
7位:廣井 真菜/0t1z 0 1

ROCKSTARクラス/男子
1位:原田 海/3t3z 7 5(スーパーファイナル優勝)
2位:藤井 快/3t3z 12 9
3位:山内 誠/2t2z 3 17
4位:渡部 桂太/1t3z 2 4
5位:藤脇 祐二/0t1z 0 2
6位:樋口 純裕/0t1z 0 14

ROCKSTARクラス/女子
1位:平野 夏海/3t3z 9 6(スーパーファイナル優勝)
2位:野中 生萌/2t2z 2 2 ※準決勝1位
2位:伊藤 ふたば/2t2z 2 2 ※準決勝2位
2位:中村 真緒/2t2z 2 2 ※準決勝4位
5位:番場 香月/1t2z 1 6
6位:小池 はな/1t1z 1 1
7位:北脇 順子/0t2z 0 4

※成績は左から完登数、ゾーン獲得数、完登に要した合計アテンプト数、ゾーン獲得に要した合計アテンプト数
※リザルト詳細は成績速報サイトから

ADIDAS ROCKSTARS TOKYO 公式サイト

CREDITS

取材・文 篠幸彦 / 写真 窪田亮

back to top