女子表彰台=(左から)野中生萌、野口啓代、ファニー・ジベール

W杯通算20度目の頂点!野口啓代が2戦連続優勝/ボルダリングW杯2018第4戦 泰安大会

 5月12・13日、ボルダリングW杯2018の第4戦が中国・泰安で行われた。女子では野口啓代が先週末の重慶大会に続く優勝を飾ると、野中生萌も2位に入り、日本勢が2大会連続のワンツーフィニッシュ。男子はアレックス・ハザーノフ(イスラエル)が初優勝し、杉本怜が4位、藤井快が5位入賞を果たした。

 まずは男子。日本勢は第2戦モスクワ大会で優勝した楢崎智亜が第3戦重慶大会に続き準決勝で敗退するも、同大会で優勝した藤井が準決勝唯一の全完登で2戦連続、杉本が今季初のファイナリスト入りとなった。

 迎えたファイナルは大混戦となる。第1課題は全員が完登するも、パワーが求められた第2課題では足の置き位置に誰もが苦戦し、一転して完登者はゼロ。第3課題は再び全員が完登し、完登数、ゾーン獲得数はイーブン。完登に要したトライ数の差で順位がついた状態で最終課題に突入した。

 最終第4課題、この混戦から抜け出したのは初のW杯決勝を戦うハザーノフだった。チョン・ジョンウォン(韓国)がゾーンまで全く届かず、杉本は5トライ目でのゾーン獲得に留まると、ここまで4位につけていたハザーノフは2トライ目でゾーンを捉える。沸き起こった大歓声に後押しされるように、そのまま2つのスローパー(角がなく丸い形状のホールド)をよじ登りTOPを手中に納めた。その後、後続の選手がゾーン止まりで終えると、最後に控える藤井が完登したとしてもアテンプト数で及ばないためハザーノフの優勝が決定。藤井は完登できれば2位という状況だったが、スローパーを抱え込んでからのムーブに苦戦してゾーン止まり。最終課題で違いをみせたイスラエルの23歳が、初のファイナル進出で優勝を射止め、表彰台では歓喜の涙を流した。

 一方の女子。日本勢はエントリーした8人全員が準決勝に進むも、ファイナリストとなったのはやはり野口と野中。今季好調を維持する2人は予選、準決勝ともに全完登と別格の強さを見せる。ファイナルでも他選手が完登するのに苦戦するなかで、日本のツートップは足並みを揃えるように第1、第2課題を悠々と一撃する。

 拮抗した2人に差が付いたのが第3課題。野中はスタートから勢いをつけて横移動するダイナミックなムーブに手間取り、一連の動作の最後にあるゾーンを止めきるのにアテンプトを4つ重ねてしまう。結局5トライ目での完登となり、2トライで攻略した野口が単独首位となった。最終課題では、それまで完登者が出ないなかで野中が3トライで完登しプレッシャーをかけるも、野口はそれを一撃でクリア。完登数で並んだ野中をトライ数で5つの差をつけて退けた野口は、W杯通算20度目の頂点に立った。終わってみれば3位以下に2完登以上の差をつけ、改めて2人の強さが際立った大会となった。

 同時開催となったスピードW杯第3戦では、フランス勢がアベック優勝。男子はバッサ・マウェムが33歳にしてW杯を初制覇し、女子は昨季年間女王のアヌーク・ジョベールが早くも今季2勝目を手にした。日本勢は男子が緒方良行の42位、女子が野中の27位が最高で、予選突破はならなかった。

 女子では、ライバルであるショウナ・コクシー(イギリス)、ヤンヤ・ガンブレット(スロベニア)が欠場するなか、着実に日本のツートップが上位を独占した中国ラウンド。次の舞台は6月2・3日の八王子大会。男子の巻き返しを含め、地元開催で躍動する日本勢の姿に期待したい。

 

<ボルダリング女子決勝>

1位:野口 啓代(28)/4t4z 5 5
2位:野中 生萌(20)/4t4z 10 7
3位:ファニー・ジベール(25/フランス)/2t3z 6 7
4位:スターシャ・ゲヨ(20/セルビア)/1t3z 3 7
5位:ヨハンナ・ファーバー(20/オーストリア)/1t3z 4 10
6位:キーラ・コンディー(21/アメリカ)/0t3z 0 5
―――――
9位:倉 菜々子(17)※準決勝進出
11位:加島 智子(35)※準決勝進出
11位:小武 芽生(20)※準決勝進出
13位:伊藤 ふたば(16)※準決勝進出
15位:杉村 紗恵子(25)※準決勝進出
19位:尾上 彩(22)※準決勝進出

 

<ボルダリング男子決勝>

1位:アレックス・ハザーノフ(23/イスラエル)/3t4z 7 9
2位:イェルネイ・クルーダー(27/スロベニア)/2t4z 2 5
3位:グレゴール・ヴェゾニック(22/スロベニア)/2t4z 4 10 ※準決勝3位
4位:杉本 怜(26)/2t4z 4 10 ※準決勝5位
5位:藤井 快(25)/2t4z 7 5
6位:チョン・ジョンウォン(22/韓国)/2t3z 6 6
―――――
8位:楢崎 智亜(21)※準決勝進出
9位:渡部 桂太(24)※準決勝進出
10位:高田 知尭(23)※準決勝進出
11位:藤脇 祐二(22)※準決勝進出
15位:石松 大晟(21)※準決勝進出
18位:緒方 良行(20)※準決勝進出
19位:村井 隆一(23)※準決勝進出
23位:原田 海(19)
25位:土肥 圭太(17)
85位:是永 敬一郎(22)

※左から氏名、年齢(大会初日時点)、所属国、決勝成績
※決勝成績は左から完登数、ゾーン獲得数、完登に要した合計アテンプト数、ゾーン獲得に要した合計アテンプト数

 

<スピード女子決勝>

1位:アヌーク・ジョベール(24/フランス)/7秒62
2位:サリ・アグスティナ(21/インドネシア)/7秒74
3位:エリーズ・スーザンティ・ラハユ(23/インドネシア)/8秒86
―――――
27位:野中 生萌(20)/9秒42
32位:倉 菜々子(17)/10秒90 ※PB
35位:野口 啓代(28)/12秒73

 

<スピード男子決勝>

1位:バッサ・マウェム(33/フランス)/5秒68
2位:サブリ・サブリ(22/インドネシア)/5秒75
3位:ドミトリー・チモフェーエフ(25/ロシア)/相手失格
―――――
41位:緒方 良行(20)/7秒69
42位:楢崎 智亜(21)/7秒72
44位:藤井 快(25)/7秒81 ※PB
48位:土肥 圭太(17)/8秒12
57位:原田 海(19)/9秒13

※左から氏名、年齢(大会初日時点)、所属国、成績
※1・2位選手の成績は決勝記録、3位選手の成績は3位決定戦記録
※日本人選手の成績は今大会の最高記録

リザルト詳細はコチラから

CREDITS

篠幸彦 / 写真 窪田美和子/アフロ

back to top