野中生萌が2年ぶり3度目の優勝!/ボルダリングW杯2018第1戦 マイリンゲン大会
4月13・14日、スイス・マイリンゲンでボルダリングW杯2018シーズンの開幕戦が行われた。女子では野中生萌が2年ぶり3度目の優勝に輝き、野口啓代が3位。男子では楢崎智亜が準優勝を果たした。
先に行われた女子決勝には、日本勢から野口と野中が進出。勝負どころとなったのが、序盤のスラブ(緩傾斜壁)攻略が肝となった第3課題。2課題を終えて首位に並んでいたのは、ともに一撃した野中、ヤンヤ・ガンブレット(スロベニア)、野口の3名。すると3番手に登場した野中が3つ目の一撃を刻み、アテンプト数で優位に立つことに成功する。野中は慎重にバランスを取りながら核心部へ迫ると、難しい態勢のランジを決めて一気にTOPを掴んだ。
そして最終課題、ここまでパーフェクトなスコアの野中は一撃こそならなかったものの、2トライで完登し、優勝を大きく引き寄せる。続くガンブレットは一撃するも2アテンプト及ばず、最終競技者の野口は一撃すれば逆転という状況だったが、完登まで5アテンプトを要したため、野中の優勝が決定。昨季日本女子は一度も優勝を果たすことができなかったが、今シーズンは初戦から見事に表彰台の頂点に立つ結果となった。
なおW杯デビューで注目された伊藤ふたばは、予選27位で悔しい敗退。伊藤の新たな同世代のライバルとなりそうなのが、16歳のサンドラ・レトナー(オーストリア)。昨季世界ユースのコンバインド女王(ユースA)は、伊藤と同じくデビュー戦となった今大会で4位入賞と躍動した。
野中生萌コメント
「準決勝ではあまり満足できる登りが出来ていなかったので、決勝で思い切って自分の登りをした結果、優勝に繋がってとても嬉しいです。シーズン初戦から優勝を目指して準備をしてきたので、いいスタートが切れました。会場、そしてライブストリーミングからの観戦と応援ありがとうございます。とても力になりました! また来週はモスクワで第2戦があるので、しっかりと調整していきたいです。これからも応援よろしくお願いします」
続いて行われた男子決勝。第1課題、1番手のイェルネイ・クルーダー(スロベニア)が2アテンプトで完登し雄叫びを上げると、昨年年間王者のチョン・ジョンウォン(韓国)、同3位のアレクセイ・ルブツォフ(ロシア)が一撃でそれに続く。しかし準決勝1位のヤコブ・シューベルト(オーストリア)、2位の楢崎は完登できず、序盤からスコアに差が出る展開となった。
クルーダーが第2、3課題も完登で波に乗ると、離されたくない楢崎も追随する。特にコーディネーション系の第2課題は圧巻の身体能力を見せて一撃し、会場を大いに沸かせた。第3課題を終え、ルブツォフも2完登で優勝争いに踏みとどまった一方、王者チョンは第2、3課題をゾーンすら掴めず、振るわなかった。
そして最終課題、首位に立つクルーダー、3位のルブツォフがゾーン止まりで完登できず、楢崎に3アテンプト以内の完登で逆転というチャンスが回ってくる。しかし、スタートから苦戦した楢崎はこれを生かせず、同じくゾーン止まりで2位フィニッシュ。クルーダーはW杯参戦4シーズン目にして念願の初優勝となった。初のファイナリストとなった高田知尭は第2課題を完登して5位入賞を果たしている。
開幕戦から野中、野口、楢崎と3人が表彰台に立ち、好調な滑り出しとなった日本代表。次週4月21・22日に開催される第2戦・モスクワ大会でもさらなる活躍が期待される。
<女子決勝>
1位:野中生萌(20)/4t4z 5 5
2位:ヤンヤ・ガンブレット(19/スロベニア)/4t4z 7 5
3位:野口啓代(28)/4t4z 9 9
4位:サンドラ・レトナー(16/オーストリア)/3t4z 5 5
5位:ファニー・ジベール(25/フランス)/3t3z 4 3
6位:ショウナ・コクシー(25/イギリス)/2t4z 5 11
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11位:尾上 彩(22)※準決勝進出
15位:中村 真緒(18)※準決勝進出
27位:伊藤 ふたば(15)
31位:菊地 咲希(15)
35位:小武 芽生(20)
55位:金子 桃華(18)
63位:倉 菜々子(17)
<男子決勝>
1位:イェルネイ・クルーダー(27/スロベニア)/3t4z 7 8
2位:楢崎智亜(21)/2t4z 3 7
3位:アレクセイ・ルブツォフ(29/ロシア)/2t4z 5 13
4位:ヤコブ・シューベルト(27/オーストリア)/2t3z 6 9
5位:高田知尭(23)/1t3z 3 5
6位:チョン・ジョンウォン(22/韓国)/1t2z 1 2
7位:マニュエル・コルニュ(24/フランス)/0t3z 0 9
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8位:杉本 怜(26)※準決勝進出
9位:藤脇 祐二(22)※準決勝進出
10位:緒方 良行(20)※準決勝進出
12位:藤井 快(25)※準決勝進出
16位:原田 海(19)※準決勝進出
21位:石松 大晟(21)
23位:渡部 桂太(24)
23位:渡邉 海人(21)
35位:土肥 圭太(17)
45位:村井 隆一(23)
※左から氏名、年齢(大会初日時点)、所属国、決勝成績
※決勝成績は左から完登数、ゾーン獲得数、完登に要した合計アテンプト数、ゾーン獲得に要した合計アテンプト数
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CREDITS
文 篠幸彦 / 写真 JMSCA