リードW杯男子年間表彰台(左からステファノ・ジソルフィ、ロメイン・デグランジュ、是永敬一郎)

是永敬一郎が年間3位、楢崎智亜が複合で年間優勝/リードW杯2017第8戦 スロベニア・クラーニ大会

 11月11日、12日、スロベニア・クラーニでリードW杯2017シーズン最終戦となる第8戦が行われた。男子ではオーストリアのヤコブ・シューベルトが優勝し、女子はスロベニアのヤンヤ・ガンブレットが今季6度目の栄冠に輝いた。

 男子は日本勢出場8名のうち7名が予選通過と好調だったが、全員が準決勝で敗退。また、年間ランキング1位を守るロメイン・デグランジュ(フランス)が準決勝敗退という波乱も見られた。決勝は一番手のアレクサンダー・メゴス(ドイツ)がいきなりTOPまであと1手となる38+を記録する。その後、年間王者を争うステファノ・ギソルフィ(イタリア)が33+にとどまるなど、メゴスの好記録を後続が破ることができない。しかし最後に圧巻の登りを見せたのが予選、準決勝1位のシューベルト。2011、14年のリード年間王者である26歳はTOPまであと4手の場面で観客を煽るなど余裕を見せ、唯一の完登で今季2勝目を手にした。最終戦までもつれていた年間優勝の行方は、デグランジュが首位を死守し、ギソルフィが2位に。そして是永が平山ユージ、安間佐千に続く日本人3人目となる年間表彰台に立っている。

 女子では日本勢5人全員が予選を通過するものの、こちらも決勝へは1人も残ることができず。一方で今季ボルダリング年間女王のショウナ・コクシー(イギリス)がリードW杯初出場でファイナリスト入りを果たし、決勝では29+とまずまずの記録を残しその地力の高さを見せつけた。その後にジュリア・シャヌルディ(フランス)、モーリー・トンプソン・スミス(イギリス)がともに33+とコクシーを上回るが、違いを見せたのは6番手のキム・ジャイン(韓国)。上位陣がフォールした33地点を慎重に通過すると、ラスト2ホールドとなる43に到達し、他を大きく引き離す記録で暫定1位。しかし、地元の大声援を背にヤンヤが女王の貫禄を示す。キムを抜いてTOPに手をかける44+までたどりつき、今季6勝目でシーズンの最後を締めくくった。年間ランキングでは、ガンブレットに次いでアナーク・バーホーベンとの熾烈な争いを制したキムが2位に。日本勢では大田理裟11位が最高で、年間トップ10入りはわずかに届かなかった。

 リードW杯国別ランキングでは、3位につけていたスロベニアが最終戦で逆転し年間1位を獲得。日本は3位でフィニッシュしている。また種目を問わずW杯に出場した全選手で争われていた複合では男子で楢崎智亜が見事に年間優勝。2位のチョン・ジョンウォン(韓国)、3位の藤井快とともにアジア勢が表彰台を独占している。

男子複合年間ランキングで1位に入った楢崎智亜(中央)と3位の藤井快(右)(写真=(公社)日本山岳・スポーツクライミング協会)

クラーニ大会を終えた日本代表選手団(写真=(公社)日本山岳・スポーツクライミング協会)

 

<リード男子・決勝>

1位:ヤコブ・シューベルト(26/オーストリア)/TOP
2位:アレクサンダー・メゴス(24/ドイツ)/38+
3位:ドミトリー・ファキリャノフ(22/ロシア)/36
4位:ドメン・スコフィッチ(23/スロベニア)/33+
5位:ステファノ・ギソルフィ(24/イタリア)/32+
6位:フランチェスコ・ヴェトラータ(25/イタリア)31+
7位:マルチェッロ・ボンバルディ(24/イタリア)31 ※準決勝4位
8位:ヤン・ホイヤー(25/ドイツ)31 ※準決勝5位
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10位:是永 敬一郎(21)※準決勝進出
13位:波田 悠貴(20)※準決勝進出
16位:緒方 良行(19)※準決勝進出
17位:藤井 快(24)※準決勝進出
23位:楢崎 明智(18)※準決勝進出
25位:楢崎 智亜(21)※準決勝進出
26位:野村 真一郎(20)※準決勝進出
30位:樋口 純裕(25)

 

<リード女子・決勝>

1位:ヤンヤ・ガンブレット(18/スロベニア)/44+
2位:キム・ジャイン(28/韓国)/43
3位:モーリー・トンプソン・スミス(19/イギリス)/33+
4位:ジュリア・シャヌルディ(21/フランス)/33+ ※準決勝5位
5位:ミナ・マルコヴィッチ(29/スロベニア)/32+ ※準決勝6位
6位:ショウナ・コクシー(24/イギリス)/29+
7位:ヴィータ・ルーカン(17/スロベニア)/23+
8位:アナーク・バーホーベン(21/ベルギー)/23
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9位:野口 啓代(28)※準決勝進出
12位:小武 芽生(20)※準決勝進出
13位:大田 理裟(24)※準決勝進出
17位:野中 生萌(20)※準決勝進出
21位:義村 萌(20)※準決勝進出

リザルト詳細はIFSC大会ページから

 

クライミングW杯複合/男子年間ランキング

1位:楢崎 智亜(21)/571pt
2位:チョン・ジョンウォン(21/韓国)/564pt
3位:藤井 快(24)/489pt
4位:ロメイン・デグランジュ(35/フランス)/477pt
5位:ウラジスラフ・デューリン(23/ロシア)/470pt
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10位:是永 敬一郎(21)

その他ランキングはIFSC公式ページから

 

クライミングW杯複合/女子年間ランキング

1位:ヤンヤ・ガンブレット(18/スロベニア)/1135pt
2位:キム・ジャイン(28/韓国)/626pt
3位:ショウナ・コクシー(24/イギリス)/607pt
4位:アヌーク・ジョベール(23/フランス)/545pt
5位:ユリア・カプリナ(24/ロシア)/525pt
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6位:野口 啓代(28)
8位:野中 生萌(20)

その他ランキングはIFSC公式ページから

 

リードW杯国別ランキング

1位:スロベニア/1473pt
2位:フランス/1440pt
3位:日本/1418pt
4位:オーストリア/1070pt
5位:イタリア/1022pt
※国別ポイント=W杯各大会の国別上位3選手の合計ポイント

その他ランキングはIFSC公式ページから

CREDITS

篠幸彦 / 写真 アフロ

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