樋口純裕が自身最高となる4位に/リードW杯2017第3戦 フランス・ブリアンソン大会

 7月28、29日、リードW杯2017第3戦がフランス・ブリアンソンで行われた。男子は今シーズン2勝目となるフランスのロメイン・デグランジュ、女子は開幕から連勝を続けるスロベニアのヤンヤ・ガンブレットがまたも優勝を果たした。日本勢では樋口純裕と島谷尚季がファイナリストとなり、樋口は4位とメダルまであと一歩というところまで健闘した。

 男子予選には日本から樋口、島谷、是永敬一郎の3人が出場。第2戦で2位となっていた是永は第1ルートの序盤、11+地点でフォールするアクシデントがありながら、第2ルートでは35+と立て直し26位と通過ラインギリギリで予選を突破。今大会が今シーズンのW杯初戦となる島谷は第1ルートが35、第2ルートが30+で14位、樋口は第1ルートが37、第2ルートが35+と完登者が現れなかった予選の2本とも高いスコアを記録して5位でそれぞれ予選を通過した。激戦となった準決勝は先頭の是永が35+と高スコアを記録すると、島谷はそれを上回る36地点まで到達。樋口はさらに高スコアの36+でフォール。最終的に35+から36+の間に10人が並ぶ混戦となり、島谷は6位、樋口は3位でファイナルへ進出。しかし、是永は10位で準決勝敗退となった。

 決勝は1番手のステファノ・ギソルフィが35、2番手のショーン・マッコールがいきなり終盤の緩傾斜まで到達する39と高スコアが続く。3番手には島谷が登場するが、22.5地点で手を滑らせてフォールしてしまい、上位争いは厳しくなってしまう。6番手の樋口は29を記録しこの時点で3位。記録は上位と離れているものの、メダルの可能性を残す。続くセバスチャン・ハレンケが13+で早々に競技を終了したことにより、樋口のメダルは最終競技者の結果次第となった。そして登場したのが地元のデグランジュ。大声援を受けながら競技を開始すると、終盤の緩傾斜まで到達。暫定1位のショーンの39地点を通過すると声援は最高潮となり、誰も到達できなかった41地点まで登りつめてフォール。優勝がわかると、地元の観衆に向けて雄叫びをあげた。これで樋口は昨年のW杯自身最高の5位を上回る4位に、島谷は2013年以来のファイナル進出となる7位と健闘した。

 女子予選には大田理裟、義村萌、森脇ほの佳の3人が出場。大田は1ルート目を33+、2ルート目を完登して14位、義村は1ルート目は18+だったが、2ルート目で40+を記録して21位で2年ぶりの準決勝進出。一方、森脇は15+、5+と両ルートとも振るわずW杯デビュー戦は52位での予選敗退となった。準決勝は6番手に義村が登り、この時点では暫定2位となる26+を記録。そして13番手の大田は29+まで到達し、暫定1位で後続を待ったが最終的には12位まで後退。義村も20位で準決勝敗退となった。対照的に予選の2ルート、準決勝を完登し難なく決勝に進出たのが、昨シーズンも上位を争ったヤンヤ・ガンブレット、キム・ジャイン、アナーク・バーホーベンの3人。決勝では今大会も彼女たちによる表彰台争いが予期された。

 決勝は地元のジュリア・シャヌルディが観衆の後押しを受けながら30+の高スコアで暫定首位に立つ盛り上がりを見せるが、やはりメダル争いはラストの3人が一つ上の次元で争う展開となる。まず6番手で登場したキムが36+と大幅に高度をあげて首位に立つと、続くバーホーベンはさらに高度を伸ばす38+まで到達する。この時点で2人のメダルは確定。最後にはガンブレットが登場し、ここまで完登者がいないルートで女王がどんなクライミングを見せるのか注目が集まった。ガンブレットはキムの36まで到達すると、バーホーベンの38も通過して40に手を伸ばしたところでフォール。記録は39+となり、僅差での勝負を制したガンブレットが今シーズン負けなしの3勝目を手にした。

 男子は前回3位の波田悠貴が欠場する中、樋口と島谷の2人がファイナリストと躍進。女子は決勝進出を逃したものの、大田が今シーズン最高の12位につけて決勝まであと少しのところまで迫った。そして女子の表彰台は前回のシャモニーに続いて、またもガンブレット、バーホーベン、キムの3人が並ぶ結果に。さらなるデッドヒートから目が離せない第4戦は、約1カ月を空けてこれまでに数々の大会が開かれてきたイタリア・アルコで開催される。

 

<男子・決勝>

1位:41  ロメイン・デグランジュ(フランス/34)
2位:39  ショーン・マッコール(カナダ/29)
3位:35  ステファノ・ギソルフィ(イタリア/24)
4位:29  樋口 純裕(24)
5位:28+ ショーン・ベイリー(アメリカ/21)
6位:27  マルチェッロ・ボンバルディ(イタリア/23)
7位:22.5 島谷 尚季(20)
8位:13+ セバスチャン・ハレンケ(ドイツ/22)
—–
10位:是永 敬一郎(21)

<女子・決勝>

1位:39+ ヤンヤ・ガンブレット(スロベニア/18)
2位:38+ アナーク・バーホーベン(ベルギー/21)
3位:36+ キム・ジャイン(韓国/28)
4位:30+ ジュリア・シャヌルディ(フランス/21)
5位:26+ ジェシカ・ピルツ(オーストリア/20)※準決勝4位
6位:26+ マーゴ・ヘイズ(アメリカ/19)※準決勝7位
7位:26+ サロメ・ロメイン(フランス/21)※準決勝8位
8位:20+ ミナ・マルコヴィッチ(スロベニア/29)
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12位:大田 理裟(24)
20位:義村 萌(20)
52位:森脇 ほの佳(17)

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CREDITS

篠幸彦

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