渡部桂太が初優勝!/ボルダリングW杯2017第3戦 中国・南京大会

 4月29、30日、ボルダリングW杯2017第3戦が中国・南京で行われた。男子は渡部桂太がW杯初優勝、楢崎智亜が前回大会に続いて2位入賞、女子は野中生萌が今季2度目の3位入賞を果たした。

 男子は前回重慶大会の10人には及ばなかったものの、今大会も7人が予選を通過という好スタート。中でも楢崎智亜は、前回からの好調をキープして5課題を一人だけ全完登と他を圧倒する強さを見せつけ、総合1位で予選通過した。準決勝は渡部桂太が第1~3課題を連続で完登し、唯一の3完登で決勝へトップ通過。2完登が決勝へのボーダーラインとなり、アテンプト差で杉本怜が5位、楢崎が6位でファイナルへ滑り込んだ。

 決勝は第1課題が難所となった。先頭の楢崎が完登するが、後続はボーナスすらつかめないという苦戦を強いられる。そして最後を登る渡部がラスト1秒で粘りの完登を見せ、良い流れを作り出した。渡部は他の選手が苦しむ第2、第3課題も完登すると最終第4課題をオンサイト(一撃)で締めくくり、ただ一人全完登でW杯初優勝。楢崎も3完登で2位に輝き、日本勢が表彰台上位を独占する形で他国を圧倒した。杉本は第3課題でTOPを捉えるもわずかに時間切れとなり、完登なく6位で終えた。

 女子の予選は前回大会に続いて野口啓代、野中生萌、小武芽生の3人に加え、前回21位で惜しくも予選落ちした尾上彩が次ラウンドへ駒を進めた。準決勝では多くの選手が難易度の高い課題に苦しむ中、2完登の小武が2位、野中が3位につけた。そして1完登に8人が並ぶ中、2アテンプトの尾上が5位に入り、男子と同様に3人が決勝へ進出。精彩を欠いた野口は一つも完登できず、13位で準決勝敗退となった。

 決勝は男子と同じく第1課題から先頭3人がボーナスもつかめない厳しい展開となった。そんな中で5番手の野中は残り21秒という最後のトライでTOPをつかみ観衆を沸かせたが、保持が認められず痛恨のボーナス止まりとなった。そして今大会でも強さを見せたのが、重慶大会で優勝を争ったショウナ・コクシーとヤンヤ・ガンブレット。2人は第1、第2課題を完登して並び、勝負を分けたのは第3課題。4番手のコクシーが完登でプレッシャーをかけると、これに続くと思われたガンブレットはまさかのボーナスもつかめず。これで一つ抜け出したコクシーは第4課題も完登し、今シーズン早くも2度目の優勝を成し遂げた。野中は2完登で食らいついて3位入賞。最後はハイレベルな課題に苦戦した尾上(5位)と小武(6位)だったが、ファイナル進出と健闘した。

左からガンブレット、コクシー、野中

 マイリンゲン大会3位、重慶大会4位とシーズン始めから好調だった渡部が、W杯初優勝を果たした今大会。日本勢全体としても男女3人ずつが決勝に進んだのは史上初の快挙で、ここまで良い流れが続いている。次回はいよいよ八王子大会。地元の応援を背に日本勢のさらなる快進撃を期待したい。

<男子・決勝>
1位 渡部 桂太(23)4t9 4b8
2位 楢崎 智亜(20)3t6 4b7
3位 イェルネイ・クルーダー(スロベニア/26)2t5 3b5
4位 チョン・ジョンウォン(韓国/21)1t1 3b8
5位 マニュエル・コルニュ(フランス/23)0t 3b3
6位 杉本 怜(25)0t 3b4
—–
9位 掘 創(27)
11位 楢崎 明智(17)
11位 藤井 快(24)
15位 原田 海(18)

<女子・決勝>
1位 ショウナ・コクシー(イギリス/24)4t12 4b12
2位 ヤンヤ・ガンブレット(スロベニア/18)3t7 3b7
3位 野中 生萌(19)2t6 4b15
4位 キム・ジャイン(韓国/28)1t5 2b11
5位 尾上 彩(21)0t 3b8
6位 小武 芽生(19)0t 1b3
—–
13位 野口 啓代(27)

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CREDITS

篠幸彦
写真 Imaginechina/アフロ

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