2017年シーズンのボルダリングW杯が開幕。男子は藤井快が優勝、女子は野中が3位に
4月7、8日、2017年のボルダリングワールドカップ開幕戦となるスイス・マイリンゲン大会が行われた。
男子は昨年にワールドカップ年間優勝、世界選手権優勝と飛躍を遂げた楢崎智亜が21位と予選通過ラインに1つ足らず敗退という波乱のスタート。そんな中、もう1人のエース・藤井快が予選を1位通過し、準決勝は5位で決勝に駒を進めた。
決勝は完登がなかなか出ない厳しい展開となったが、第3課題を藤井が一撃。今年のボルダリングジャパンカップを彷彿とさせる雄たけびをみせ、マイリンゲンの会場を大いに沸かせる。ともに決勝へ進んだ渡部桂太、杉本怜も1完登で並び、最終的には完登に要したアテンプト数の差で藤井が優勝を決めた。渡部は3位で自身初の表彰台、第4課題を唯一完登してみせた杉本も4位入賞と日本人が上位を席巻。決勝は逃したものの、準決勝に緒方良行(9位)、楢崎明智(19位)も進出するなど、日本勢の層の厚さを見せつけた。
波乱のスタートは男子だけではなかった。女子でも野口啓代が21位でまさかの予選敗退。それでも昨年のワールドカップで総合2位の野中生萌が準決勝を唯一全4完登して1位で通過する。決勝では1完登で3人が並ぶ中、アテンプト数の差で3位となり、接戦の中で表彰台に上がる健闘を見せた。
一人異次元のパフォーマンスを披露したのが昨年の女王ショウナ・コクシー(イギリス)だ。予選でただ一人全5完登を決めると、準決勝も4課題中3完登で3位。迎えた決勝では2完登すら1人にとどまる中で、全4完登と圧倒的な力を見せつけて文句なしの優勝を飾った。野中の他には小武芽生が予選5位と好位置につけたが、準決勝は14位で敗退となった。
男女ともに表彰台に上がる結果となり、日本勢が好調な滑り出しを見せたマイリンゲン大会。4月22、23日の第2戦、中国・重慶大会では楢崎智亜、野口らが巻き返しを見せ、日本勢のさらなる躍進を期待したい。
<男子・決勝>
1位 藤井 快(24)1t1 3b6
2位 アレクセイ・ルブツォフ(28/ロシア)1t2 2b8
3位 渡部 桂太(23)1t3 2b12
4位 杉本 怜(25)1t5 3b7
5位 イェルネイ・クルーダー(26/スロベニア)― 2b3
6位 ダーフィット・フィルネンブルク(21/ドイツ)― 1b4
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9位 緒方 良行(19)
19位 楢崎 明智(17)
21位 波田 悠貴(19)
21位 楢崎 智亜(20)
27位 堀 創(27)
29位 原田 海(18)
41位 藤脇 祐二(21)
<女子・決勝>
1位 ショウナ・コクシー(24/イギリス)4t10 4b8
2位 カタリーナ・ザーヴァイン(29/オーストリア)2t6 3b13
3位 野中 生萌(19)1t2 3b6
4位 スターシャ・ゲヨ(19/セルビア)1t3 3b3
5位 ペトラ・クリングラー(25/スイス)1t3 2b3
6位 ヤンヤ・ガンブレット(18/スロベニア)― 2b4
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14位 小武 芽生(19)
21位 野口 啓代(27)
35位 尾上 彩(21)
文 篠幸彦 / 写真 日本山岳・スポーツクライミング協会