FEATURE 89

ネクストブレイクは誰だ!?

スポーツクライミング 注目の次世代スター【女子編】


近年、国内外の大会で上位につけるなど存在感を高めている日本の10代クライマー。長年ユース選手を指導してきた伊東秀和氏の監修の下、伊藤ふたばや森秋彩らに続いて“次にくる”スター候補を厳選して紹介する。本記事では、男子編に続いて日本女子クライミング界期待の選手を取り上げる。

※本記事の内容は2020年9月発行『CLIMBERS #017』掲載当時のものです。
 
ネクストブレイクは誰だ!? 注目の次世代スター【男子編】
 

松藤藍夢(まつふじ・あのん)
初のBJCで予選首位通過


 
今年のBJC(ボルダリングジャパンカップ)で野口啓代、野中生萌、伊藤ふたばを抑えて予選首位通過を果たし、決勝(6位)まで健闘した新星。有力選手の多い2003年生まれで、同世代の柿崎未羽と同じく昨年のジャパンツアーでボルダリング年間1位となり、飛躍に繋げた。BJC初出場での決勝進出は、ベルトコンベア方式への苦手意識克服や難課題を繰り返し登るサーキットトレーニングなど努力で掴んだ大舞台だった。「岩場もすごく好きで、その経験が競技にも活きているはず」と語る伊東氏も、「より競技性や大会での経験値を高めていければ今後さらに活躍できる」と期待を寄せる。
 
[生年月日]
 2003年10月18日(16歳)
[出身地]
 神奈川県横浜市
[身長]
 160cm
[クライミング歴]
 7年
[得意種目]
 ボルダリング
[得意課題/得意ムーブ]
 真っ向勝負
[練習頻度]
 週4日、1日5~6時間
[クライミングをする上で大切にしていること]
 自信がないからこそ誰よりも練習して精神力をつけたいです。決勝の舞台に立って自分の甘さと弱さを知り、気持ちで負けることがないように強い自分を作りたいです
[実力向上のために取り組んでいること]
 練習量の確保。世界と戦う身体を作るために、もっと強度の高いトレーニングができるように、自分の限界値を上げていきたいです
[将来の目標と抱負]
 どこまでいけるかはわかりませんが、自分が納得できる結果と成果が欲しいです。沢山の方に応援してもらっています。自分のパフォーマンスで誰かを感動させられるようになりたいです!
 
 

柿崎未羽(かきざき・みう)
黄金世代のニューフェイス


 
昨年新設されたジャパンツアーのリード種目で年間1位に輝き、LJC(リードジャパンカップ)で初決勝初表彰台(3位)を達成。彼女もまた2003年生まれで、同学年の森秋彩とは伊東氏のスクールでも長年ともに指導を受けてきた同期だ。教え子の長所について「体幹など全身に力強さがあり、小柄だが男子に負けないパワーでカバーしている。前腕の持久力もある」と伊東氏。「国際大会でのホールド間の距離の遠さが不安材料」だが、ボルダリングの練習を増やすなど鍛錬を重ねている。これまでユース代表とも無縁で国際経験が少ない分、今後の成長が楽しみだ。
 
[生年月日]
 2003年12月25日(16歳)
[出身地]
 東京都東村山市
[身長]
 148cm
[クライミング歴]
 9年
[得意種目]
 リード
[得意課題/得意ムーブ]
 強傾斜/ヒール
[練習頻度]
 週4日、1日4時間
[クライミングをする上で大切にしていること]
 毎回の練習を、なんとなくではなく内容や目標を明確にして行うこと。楽しんで登ること
[実力向上のために取り組んでいること]
 リードではとにかく登り込み。強度の高いムーブや遠い一手に対応できるよう、ボルダリングの頻度も増やして練習している
[将来の目標と抱負]
 W杯決勝の舞台で戦い、表彰台に乗りたい。そのために、その時その時に今できることを全力で頑張り、もっともっと強くなります!
 
 

小池はな(こいけ・はな)
大人顔負け、15歳の勝負師


 
15歳ながらLJCで3年連続(日本選手権時代を含む)決勝進出中の実力者。伊東氏によると以前は「がむしゃらに登るスタイルだった」が、最近は「ボルダリング能力が上がり、体にバネが生まれ、それがリードに活きている。器用さが増した」という。終盤のレスト後、一気に仕留めにいくスピード感を「勝負師」と評し、「最後の“ターボ”が効いている。受け身にならず自分の能力をぶつけていく感じ」と称えた。BJCも初出場から2年連続で準決勝に進み、今年は8位。今の成長を続ければ、目標のW杯2種目年間優勝も夢ではない。
 
[生年月日]
 2005年7月5日(15歳)
[出身地]
 埼玉県川口市
[身長]
 156cm
[クライミング歴]
 10年
[得意種目]
 リード
[得意課題/得意ムーブ]
 クリンプ、キョン(指の強さは自信あります)
[練習頻度]
 週4日、平日3時間半、休日6時間
[クライミングをする上で大切にしていること]
 楽しむこと。自分自身への挑戦。かっこいい背中
[実力向上のために取り組んでいること]
 フィジカルトレーニング。バランスの良い食生活
[将来の目標と抱負]
 まだW杯に出場できる年齢ではありませんが、来年には自分の弱みを極力つぶして、強みを最大限活かした登りができるようになって、W杯などの憧れの舞台に立ちたいです。最終的には、リードもボルダーも年間女王になれるように精一杯頑張ります。応援よろしくお願いします
 
 

関川愛音(せきかわ・めろでぃ)
ふたばに憧れる13歳の逸材

[写真:大杉和広]

 
昨年の第2回ボルダリング小学生競技大会を一撃連発で制した青森の天才少女だ。自宅近くにジムができたことがきっかけで母親とクライミングを始め、小学3年時からは正しい体の使い方を身につけようとフィジカルトレーナーの指導も受けている。伊東氏が「同年代の中でパワーは抜きん出ている」と言う運動能力の持ち主で、来年から出場可能な世界ユース選手権でも「メダル獲得の可能性は十分」。週3日は隣県の盛岡に通ってリードの練習などに励んでおり、憧れは同じ東北出身で一緒に登ってくれることもあるという伊藤ふたば。
 
[生年月日]
 2007年7月30日(13歳)
[出身地]
 青森県八戸市
[身長]
 160cm
[クライミング歴]
 6年
[得意種目]
 ボルダリング
[得意課題/得意ムーブ]
 強傾斜/ランジ、サイファー
[練習頻度]
 週4日、平日3時間、休日6~7時間
[クライミングをする上で大切にしていること]
 コロナによる自粛期間で、家でのトレーニングやランニングをして、今できることを考えることが大切だと思いました
[実力向上のために取り組んでいること]
 リードで持久力を上げるトレーニング。オブザベーション能力がなくて詰めが甘いので、最後まで集中することにも取り組んでいます
[将来の目標と抱負]
 まずしっかりユースで結果を残して、W杯に出場して、日本代表としてオリンピックに出て金メダルを取ることです

CREDITS

編集部 / 写真 窪田亮

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