FEATURE 59

裏方プロフェッショナル #011

内海龍馬(クライミングジムPUMP1 川口店)

クライミングは楽しいという気持ちを大切に

これが私のクライミング道。舞台裏で“壁”と向き合うプロに迫ったインタビュー連載。第11回は、国内で最も歴史の長いジュニア専門クライミングクラブと呼ばれる「PUMPジュニアクライミングクラブ(PJCC)」に携わる内海氏に、育成やクラブ運営への想いを伺った。

※本記事の内容は2019年6月発行『CLIMBERS #012』掲載当時のものです。
 
 
普段の業務を教えてください。

「接客やルートセット、点検を行いつつ、ビギナー向け、大人向けのレベルアップ、そしてPJCCといったスクールでの指導がメインです」

PJCCとは?

「クライミングの基礎やルール、マナー、文化のレクチャーから、大会に向けたトレーニング全般までを行う19歳までのジュニア向けクラブです。元々道場のような形で子供向けの時間は設けていましたが、習い事としてきちんと成立させようとしたのは、全国でも初だったと思います。店舗ごとに教える種目は異なり、PUMP1ではロープクライミングとボルダリングの両方を教えています。クラスはSS~Cまで5段階あって、進級テストでクラスが上がります。Cは基礎や楽しむことがメインで、BやAに上がると大会を目指していくようになります。日本代表・中村真緒を輩出したSやSSには、16歳で代表入りしている菊地咲希、平野夏海といった選手もいます」

子供を指導するようになったきっかけは?

「元々子供が好きだったので率先して関わるようになりました。高校生からアルバイトとして働き始めましたが、PJCCは大学生の頃から担当しています」

PUMPでは「B–Jr」というジュニア向けコンペも開催されていますよね。

「2015年から私が仕切らせていただいています。一人ひとりにしっかり競技時間を与えたいという思いから、ジュニア向けコンペとしては珍しい、W杯と同じオンサイトベルトコンベア方式を予選から採用しています。増える参加希望者に対応するため、2019年は7月に会場を川口店から秋葉原店に移して、キャパシティを大幅に拡大する予定です」

10年近く子供たちを指導されていますが、難しさは?

「小学生は年齢が1つ違うだけで理解できる範囲が異なり、個々の能力でもやれることが全然違います。その中で、どうわかりやすく噛み砕いて伝えるかというのは難しいところですね。口頭での説明より紙に書いたほうがいい子もいますし、動きで教えたほうが伝わりやすい子もいる。実際にやって見せたり、映像を見せたり、それぞれにあった伝え方を考えています」

他に心がけていることは?

「登っていてふざけている子がいればしっかりと叱る、楽しむときはとことん楽しむ。きちんとした習い事として捉えてもらいたいので、メリハリのある指導は心がけています」

楽しさ、やりがいを感じるときはありますか?

「やはり子供たちの成長を目の当たりにしたときですね。何か一つできるようになるだけで感動します。当時の教え子が自分と同じ感覚でクライミングができるようになったり、ここで一緒に働いたり、そういうときも幸せだなと感じますね」

指導を通して子供たちに伝えたいことは?

「クライミングは楽しいという気持ちを大切にしてもらいたいですね。コンペだけではなく、岩場で成果を出したり、開拓の功績を残したり。様々なジャンルで活躍して次の世代に楽しさや文化を引き継いでもらいたい。それを子供たちにどう伝えるかも我々の役目だと思っています」

保護者の方に伝えたいことは?

「安全管理やマナーの徹底ですね。成長期の子供にクライミングは負担が大きいことを理解して、体調不良や関節の痛みなど、小さな変化に気を配って対処してあげてほしいです。それと子供同士は個人差があるので、周りを見て親が焦って子供に無理をさせないことですね。急激に筋トレをさせたり、むやみに登らせたり、がむしゃらなトレーニングはさせないようにしてほしいです。親が子供より熱くならず、本人の気持ちを尊重しながら、熱くなった子供をうまくコントロールしてあげるくらいが良いと思います。ただ、ふざけて怪我をしそうになることはかなり多いので、そこはきちんと叱ってほしいと思います」

今後の目標を教えてください。

「B–Jrは今の仕事の中で大きな割合を占めている部門です。海外コンペとの提携や選手の招待など、海外の子どもたちに向けても何かしてあげられたらいいなと思っています。実際、去年のB–Jrでは台湾の子供を招待しました。そういった繋がりをB–Jrを通して拡げていけるといいですね」

CREDITS

インタビュー・文 篠幸彦 写真 編集部

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