FEATURE 52

独占インタビュー

大会を「楽しむ」。それが強さの源/サ・ソル

世界選手権2018の女子コンバインド、日本勢を抑えて準優勝を果たしたのが韓国を牽引する25歳、サ・ソルだった。大会で力を発揮できる、強さの秘密とは? 2018年3月上旬、本誌の取材に応えてくれた。

昨年は8月のアジア競技大会、9月の世界選手権と、コンバインド種目で2大会続けて準優勝を果たしました。

「とても嬉しかったですし、自分自身でも驚いています。アジア競技大会では、その準備過程がハードで投げ出しそうになったこともありましたが、できる限り挑戦してきた成果が出て満足しています。韓国では代表選考が遅れ、大会に臨むための準備期間が3カ月しかありませんでした」

そんな事情があったのですね。

「さらに、その間に合同練習が行われたアスリートビレッジにはボルダーとリードの壁がなかったんです。なのでトレーニング時間の大半をスピードに当て、合同練習のレスト日に2種目を練習しました。もともと私は週に5日練習するのですが、その時は6~7日で、ほぼレスト日なしの状態でした。レスト日が本当に欲しかったけど、反対に体はウズウズして休まることがなかったんです」

「アジア競技大会で疲れ切っていましたが、世界選手権ではうまく切り替えることができましたね。決勝では楽しくクライミングできましたし、ボルダリングでは(最終課題で完登する)ミラクルも起こりました。この喜びは言葉では言い表せないほどです」

 

W杯で表彰台の経験はなかったが、2018年9月の世界選手権コンバインドで準優勝を果たす。

サ・ソル選手はコンバインドで強い印象がありますが、ご自身ではどう感じていますか?

「コンバインドに参加する選手の中では、スピードを得意としていて、自信もあります。パワー系が得意なので、まだまだ世界レベルではないですけど、スピードは上達が早いと感じています。もう一つは、練習よりも大会になると結果が出るということ。スピードの自己ベストは8秒92ですが、大会に出場するごとに更新しています」

スピードの強化はどのように?

「コーチもいないので、YouTubeなどから学び、自分の登りを撮って自分でチェックしています」

大会で強いのはなぜ? メンタルが強い?

「メンタルは実際には強くないんです。一所懸命に準備に取り組めたと感じた時、自信を感じることができます。でも、もし準備ができていないと感じた時は、不安と緊張を感じてしまう。それと重要なのは、大会を楽しむということですね」

東京2020オリンピックでのメダル獲得に向け、ライバルだと考えている選手はいますか?

「いいクライマーは多いけど、自分自身が一番のライバルです。私は大会に挑む時いつもナーバスになるので、自分に自信を持って、クライミングを楽しむことを第一にしたいと思っています」

今シーズンの目標を教えてください。

「オリンピック出場の切符を得ることが一番。ボルダリングW杯でもいい成績を残したいです。あと私自身、内気でシャイなので、今年は自信に満ちた私を見せたいと思います。ストレスなく、前向きにクライミングを楽しめればいいですね」

オリンピックでの目標は?

「昨年の世界選手権では決勝進出に満足できていたので、重圧や緊張もなく決勝をただ楽しむことができました。そうすることで私はベストを尽くすことができるんです。オリンピックに出場できたら、同じようにできるはず。そして金メダルが欲しいです。また、これを機会にスポーツクライミングの人気がもっと世界で高まれば嬉しいですね」

CREDITS

インタビュー・文 編集部 / 写真 窪田亮


PROFILE

サ・ソル (韓国)

1994年3月21日生まれ。ボルダリングを主戦場とする韓国のトップ選手。W杯で表彰台の経験はなかったが、9月の世界選手権コンバインドで準優勝。同8月のアジア競技大会でも野口啓代に次ぐ銀メダルを獲得した。

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