FEATURE 18
渡部桂太直伝!
これであなたもスラブマスター
ビギナーが手始めに挑む課題であるとともに、上級者レベルでは逆に難問となり得る、奥が深い90度以下の壁「スラブ」。それを得意とするのが渡部選手だ。今回は特別に“マスター”が攻略のヒントを教えてくれました。
※本記事の内容は2017年6月発行『CLIMBERS #004』掲載当時のものです。
Lesson 1.
ホールドを事前に観察すべし
スラブは足置きがすべて。初心者の方は足を置くホールドをよく見ず、近い部分を踏みに行きがちです。写真の場合、次に進む方向は左側ですが、このように面が右を向く手前部分に乗ってしまうと腰が下がって左に行きづらくなる。事前に体重をしっかり乗せられそうな面を探すことがまず必須です。
良い例
悪い例
Lesson 2.
接地面積を広くして踏むべし
足に荷重をかけることが重要で、他の壁より地面のように(最大レベルで丁寧に)踏むのがポイント。写真の小さいホールドでは包み込むように、フラットなホールドでも面で乗る。点乗りだと体重がかからず滑ってしまう。摩擦面積を広くして面圧を高めるべく、ソール全体で接地しましょう。
良い例
悪い例
Lesson 3.
たわみを作って体重移動すべし
踏み足がホールドに乗れていない状態だとスムーズな体重移動ができません。ここで大事なのは“たわみ”を作れるかどうか。この予備動作を体得できれば、踏み足に荷重をかけられ、より踏み込めることで距離を出すのも可能になる。たわみは行きたい方向と反対側、体の一番楽な場所に作ります。
良い例
悪い例
Lesson 4.
バランスは頭と手で取るべし
バランスを取る際は頭と手の位置が肝心。右に行きたい場合、足を動かさなくても先に頭と手を右に倒せば、自然と体を移動しやすくなる。逆に行き過ぎそうになった時は、頭と手を左に持っていくことでストッパーの効果も。
スラブマスター・渡部桂太から一言!
スラブ、スラブと意識し過ぎず、一つの傾斜の登りとして楽しみましょう。そして落ちた時は、残っている足の感覚を大切に、繰り返し練習するのが上達のコツです。
CREDITS
取材・文 編集部 /
写真 永峰拓也 /
撮影協力 ビッグロック名古屋店
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PROFILE
渡部桂太 (わたべ・けいた)
1993年8月30日、三重県四日市市生まれ。小学2年でクライミングを始め、当時から東海地方の岩場で挑戦を続けてきた。コンペでもJFAユース選手権で08年、10年に優勝するなど好成績を収め、15年にはジャパンカップで準優勝、W杯参戦を果たす。17年はジャパンカップで準優勝すると、W杯初戦で3位に。中国・南京での第3戦では初優勝を飾り、自身最高の年間4位でシーズンを終える。