FEATURE 144
【TEAM au インタビュー】
楢崎明智 目の前の大会を頑張る
昨夏の国際大会を終え、スポーツクライミング界が新たなシーンへと突入した2022年、W杯シーズン開幕前の3月にTEAM auの各メンバーにインタビューを実施。一時期メンタルが落ち込んでいたという楢崎明智には復活した心境の変化、ゲームをしたり愛犬と過ごしたりするオフの生活について聞いた。
※本記事では、CLIMBERS編集部が取材協力した「au × CLIMBING」公式サイトに掲載されるTEAM au各メンバーへのインタビュー<楢崎明智編>前半パートを公開します。
「頑張らなきゃ」が「頑張りたい」に。
復活した大会へのモチベーション
まずは3月に行われた国内開幕戦、ボルダリングジャパンカップ(以下BJC)の感想から教えてください。準決勝9位に終わり、上位6人による決勝には惜しくも届きませんでした。
「今年は決勝に行って頑張るつもりでいたので、悔しさが残ります。でも自分の成長している部分をたくさん感じられて収穫も多かったです。去年は大会に対するメンタルが落ち込んでいて、頑張れる気になれず得られるものが少なかったので」
今大会で得られたものとは何でしょうか?
「強傾斜壁の課題、強度のある動きに対応できるようになっていて、フィジカル的な仕上がりを感じています。あとは“本番発揮力”というか、大会で力を出し切る感覚を養わないといけないと実感できたことです。なのでこれから出場する予定のジャパンツアー(翌年のジャパンカップ出場権が懸かるツアー戦)などの大会を楽しみにしています」
メンタル面の落ち込みは、やはり昨夏の国際大会に代表選考の問題で出場できなくなってしまったからでしょうか?
「あの大会に出られなかったこと自体よりも、そこに向けてかなりトレーニングをしていたのに(代表選考レースが途中で打ち切られたために)その成果を試す場(日本代表を決める大会)がなくなってしまったことで、以降の大会に向けるエネルギーが減ってしまいました。『どうしてこんなに頑張ってトレーニングしていたのに(選考の)大会がなくなったんだろう?』って、力を出し切ることすらできなかったのが一番こたえましたね」
そこからどのようにしてモチベーションを取り戻したのでしょうか?
「大会に出たくないという気持ちはありつつも、ずっとトレーニングは続けていたんです。練習自体は楽しかったですし、昨夏の国際大会に向けて努力していた(兄で同じTEAM auに所属する)智くん(智亜)のトレーニング相手にもなっていたので。その後、智くんや(TEAM auの藤井)快くんをはじめとした日本代表チームがW杯や世界選手権で活躍するのを見て、僕も登っているうちに調子も上がっていたので、頑張りたいという気持ちになりました。それまでの『頑張らなきゃ』が『頑張りたい』に変わったんです」
ボルダリングにおける自身の長所について教えてください。
「身長(190cm近く)が高いのでリーチがあることと、大会の予選で出てくるような(準決勝・決勝に比べると)グレードの低い課題を登る安定感ですかね。1級や初段ぐらいのグレードであればほぼ穴がなく登れる自信があります」
短所を挙げるならば?
「短所は『準決勝』です。準決勝って、何か1つの強い武器を持って、その自分の得意な課題を拾っていく感じなんですよ。僕が他の選手より優れているとしたら緩傾斜壁の課題なんですけど、最近の大会、特に国内大会は緩い傾斜の課題がやさしくなっている傾向にあって、そこで差がつきにくくなっているんです。ただ、他にも要因があるんじゃないかと考え始めているところです。例えばユース選手と代表の練習会で登っていても負ける感じはしないのに、大会だと負けてしまう。智くんにも『お前はもう練習量じゃない。何か気持ちの部分で欠けてる』って言われて(笑)。何が足りないんだろう?って、最近はずっと考えてます」
BJCの翌週にあったリードジャパンカップでは準決勝に進出したものの、多くの選手が失敗したランジのパートで明智選手もミス。16位敗退でした。
「(ランジのパートは)取るべきホールドの位置を見失っていて、ホールドがないところに飛びに行っちゃったんですよ。他の選手は単純に距離が足らずに落ちていたんですけど、僕は……」
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クライミング以外に「僕の人生」だという愛犬やゲームなどオフの姿についても聞いたインタビューの続きは「au × CLIMBING」で!
CREDITS
インタビュー・文 編集部 /
写真 永峰拓也 /
撮影協力 B-PUMP荻窪店
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