climbers
ボルダリングではW杯年間と世界選手権で2度の優勝、リードではW杯で表彰台に4度上がり、スピードでは日本人初の5秒台を叩き出す。楢崎は近年の日本代表エースとして君臨する。
スポーツクライミングを知ったのは10歳の時で、兄が通っていたクライミングジムについて行ったのがきっかけ。幼稚園から小学4年生まで習っていた器械体操で跳躍力や空中でのバランス感覚を培い、中学3年時には国内ユース公式戦で初めて表彰台に立った。
高校卒業と同時にプロの道を選ぶと、翌2016年に才能が一気に開花する。初出場の2014年は年間26位、前年は30位だったボルダリングW杯では、シリーズ第3戦で下馬評を覆す初優勝。その後の4戦も2位以上に入って藤井快との年間王者争いを制し、日本男子初の快挙を成し遂げた。さらには同年、日本人選手にとって越えられない壁だった世界選手権でもボルダリングで優勝し、日本に初の金メダルをもたらした。
2019年8月、最初の東京五輪選考大会となった世界選手権コンバインド(3種目複合)決勝では圧倒的な成績で頂点に立ち、五輪代表に内定。近年はボルダリング、リードとは運動特性が異なるスピードでも成長著しく、2021年3月には自らの日本記録を更新する5.72秒をマークして世界トップクラスの域に達した。自身が編み出した序盤のホールドをショートカットするムーブ“トモアスキップ”は、今では海外の強豪選手も取り入れている。
そのダイナミックで独創的なムーブで課題を攻略する様は“トモアスタイル”と称され、海外では“ニンジャ”の異名を取る。日本代表歴のある弟の楢崎明智とは常に練習をともにするほど仲が良く、SNSにもたびたび兄弟愛あふれる動画や画像を投稿している。
「クライミングをメジャーな競技にしたい」という思いを胸に臨んだオリンピックでは4位に終わりメダルには届かなかった。以降はスピードへの取り組みを断念し、2種目複合に専念して2024年パリ大会での金メダル獲得に再挑戦する。
生年月日 | 1996/06/22 |
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性別 | 男 |
身長 | 170cm |
所属 | TEAM au |
出身 | 栃木県 |
得意種目 | ボルダリング |
得意課題 / 得意ムーブ | ダイナミック系 / ランジ、コーディネーション |
クライミングを始めた年齢 | 10歳 |
クライミングを始めたきっかけ | 兄がクライミングジムに通っていたから |
クライミングの魅力 | 「自由」なところ。人によってムーブが違い、課題も自由に作れる |
モットー、座右の銘、好きな言葉 | 想像力のない奴に翼は持てない | 主な戦績 | ・16、19年W杯ボルダリング年間優勝 ・16、19年世界選手権ボルダリング優勝 ・19年世界選手権コンバインド優勝 ・18、19、21年コンバインドジャパンカップ優勝 ・東京五輪4位 |
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CREDITS
文 編集部 / 写真 窪田亮