リードとボルダリングの予選会場となるインスブルック・クライミングセンター(写真は世界ユース選手権2017開催時)

IFSCクライミング世界選手権2018が開幕

 スポーツクライミング最高峰の大会、IFSCクライミング世界選手権2018が本日6日から16日にかけてオーストリアのインスブルックで開催される。実施種目はリード、ボルダリング、スピード、そして世界選手権では初開催となるコンバインド(3種目複合)の計4つ。約60カ国から800名を超えるトップクライマーが集結し、“世界王者” の栄誉をかけてハイレベルな戦いが繰り広げられる。

 毎年シリーズ戦で行なわれるワールドカップと違い、2年に1度開催される世界選手権は1大会に各国の強豪選手がひしめくため、レベルの高さはまさに世界一で、優勝者には最大の栄誉と称号が与えられる。フランス・パリで行われた前回2016年大会では、楢崎智亜がボルダリングを制して日本人初となる世界選手権王者となったことが記憶に新しい。女子の同種目でも野中生萌が2位、野口啓代が3位に入るなど、日本勢の実力を世界に知らしめる大会となった。今大会では、東京オリンピックの実施種目であるコンバインドがシニアの国際大会を通じて初開催されるため、2020年に向けて各選手の世界での立ち位置を図る最初の機会にもなる。

 “金メダルを含む複数メダルの獲得” を目標に掲げる日本代表からは、いずれもW杯ファイナルの経験を持った男女合計12名が出場する。男子では、前回大会王者の楢崎智亜を筆頭に今季W杯年間3位の杉本怜、W杯重慶大会優勝の藤井快ら実力者がずらりと揃った。中でも「3種目で勝ちに行く」と複合での優勝を狙う楢崎には、同じく複合が得意な弟の明智とともにその結果に期待をしたい。

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 野中生萌、野口啓代、小武芽生の3名が出場する女子では、ボルダリングW杯年間女王として臨む野中と、彼女とデッドヒートを繰り広げた野口による優勝争いが世界選手権でも見られる可能性は高い。16歳の伊藤ふたばもメンバーに選出されていたが、直前のアジア大会で右膝の側副靭帯を損傷。重症ではないものの、大事を取って世界選手権は欠場となった。

 海外勢の注目は、男子がチェコのアダム・オンドラ。2014年大会でリードとボルダリングの2冠を史上初めて達成し、外岩でも数多くの難関グレードを攻略するなど、世界最強の呼び声も高いトップクライマーだ。オンドラは今まで3種目複合で争うオリンピックの出場に前向きな発言は見受けられなかったが、今回コンバインドのエントリーリストにも名を連ねることとなった。彼が3種目でもその実力を発揮するとなると、日本勢にとって強力なライバルとなることは間違いない。女子の最注目はヤンヤ・ガンブレット。2年連続でリードW杯年間女王に輝いているスロベニアの19歳は、ボルダリングW杯でも今シーズン出場3大会中2大会で優勝。女子史上初の世界選手権2種目制覇も十分にありえるだろう。

 大会は、リード、スピード、ボルダリングの順にスケジュールが進められ、各種目の世界王者を決定する。そしてコンバインドにエントリーした選手の中から各種目の順位を掛け算した複合ポイントの上位6名が、最終日に行われるコンバインド決勝に進出する。また、パラクライミング世界選手権も同時開催され、日本からは大会3連覇がかかる小林幸一郎などが出場予定となっている。

 

IFSCクライミング世界選手権2018

スケジュール

9月6日(木)
リード予選【女子】/11:00 ~(18:00 ~ )※ライブ中継
9月7日(金)
リード予選【男子】/11:00 ~(18:00 ~ )※ライブ中継
9月8日(土)
リード準決勝【女子】/13:00 ~(20:00 ~ )※ライブ中継
リード決勝【女子】/19:00 ~(9日 02:00 ~ )※ライブ中継
9月9日(日)
リード準決勝【男子】/13:00 ~(20:00 ~ )※ライブ中継
リード決勝【男子】/19:00 ~(10日 02:00 ~ )※ライブ中継
9月11日(火)
ボルダリング予選【女子】/10:00 ~(17:00 ~ )※ライブ中継
パラクライミング予選/18:00 ~(12日 01:00 ~ )
9月12日(水)
ボルダリング予選【男子】/10:00 ~(17:00 ~ )※ライブ中継
パラクライミング準決勝/18:00 ~(13日 01:00 ~ )
9月13日(木)
スピード予選【女子】/10:00 ~(17:00 ~ )※ライブ中継
スピード予選【男子】/14:00 ~(21:00 ~ )※ライブ中継
パラクライミング決勝/19:00 ~(14日 02:00 ~ )※ライブ中継
スピード決勝【男女】/20:00 ~(14日 03:00 ~)※ライブ中継
9月14日(金)
ボルダリング準決勝【女子】/13:00 ~(20:00 ~ )※ライブ中継
ボルダリング決勝【女子】/19:00 ~(15日 02:00 ~ )※ライブ中継
9月15日(土)
ボルダリング準決勝【男子】/13:00 ~(20:00 ~ )※ライブ中継
パラクライミング決勝/15:30 ~(22:30 ~ )※ライブ中継
ボルダリング決勝【男子】/19:00 ~(16日 02:00 ~ )※ライブ中継
9月16日(日)
コンバインド決勝【女子】/11:00 ~(18:00 ~ )※ライブ中継
コンバインド決勝【男子】/14:30 ~(21:30 ~)※ライブ中継

※カッコ内は日本時間。
※スケジュールは予告なく変更される場合がございます。予めご了承ください。
※パラクライミングの予選と、当初予定されていたスピード予選を除く各種目各ラウンドが国際スポーツクライミング連盟/公式YouTubeチャンネルでライブ中継されます。また、パラクライミングを除く各種目の決勝はJ SPORTSで生中継・配信される予定です。

 

日本代表 出場予定選手

<男子>
楢崎 明智(19)/L、B、S、C
藤井 快(25)/L、B、S、C
楢崎 智亜(22)/L、B、S、C
原田 海(19)/L、B、S、C
杉本 怜(26)/L、B、S、C
高田 知尭(23)/L、B、S、C
緒方 良行(20)/L、B、S、C
渡部 桂太(25)/B、S
田中 修太(18)/L

<女子>
野口 啓代(29)/L、B、S、C
野中 生萌(21)/L、B、S、C
小武 芽生(21)/L、B、S、C

※左から氏名、年齢(大会初日時点)、エントリー種目
※エントリー種目はL=リード、B=ボルダリング、S=スピード、C=コンバインド

大会公式サイト

CREDITS

編集部 / 写真 窪田美和子/アフロ

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