男子ジュニア表彰台=左から楢崎明智、緒方良行、カイ・ライトナー

緒方良行が二冠達成! 田中修太も金。白石阿島は大会3連覇/IFSC世界ユース選手権2017【リード/ジュニア&ユースA】

 9月8日、IFSC世界ユース選手権(オーストリア・インスブルック)のリード・ジュニア(1998、1999年生まれ)、ユースA(2000、2001年生まれ)の決勝が行われた。ジュニア男子は緒方良行、楢崎明智がボルダリングに続いてワンツーフィニッシュを決め、女子は田嶋あいかが2位に。ユースA男子でも田中修太が世界ユース初優勝を飾り、女子では白石阿島(米国)が3年連続でボルダリングとの二冠を達成した。

 ジュニア男子は緒方、楢崎の快進撃が止まらない。まずは準決勝5位の楢崎が先に登ると、暫定1位だった中上太斗の39+をあっさり通過し47+を記録。そして準決勝を首位通過していた緒方が最終競技者として登場。着実な登りで高度を伸ばしていくと、楢崎がフォールした地点に近づくにつれ会場は声援で後押しする。結局、緒方は50+まで高度を伸ばしてフォール。今シーズンW杯でも結果を出している緒方、楢崎の2人がその実力を発揮し、2種目で表彰台に立った。善戦した中上だったが、2014年にユースBで世界ユースを制して久しいカイ・ライトナー(米国)が3位に入り、日本人表彰台独占は阻まれた。

 女子はW杯にも出場中のマーゴ・ヘイズ(米国)という注目選手がいるなか、田嶋が果敢なクライミングを見せる。田嶋の前にクレア・バーファインド(米国)が43+という高スコアで終えると、彼女はそれに迫る41+地点まで到達。2位で後続を待つと、ヘイズや予選1位のエロイーズ・デュモンが高度を伸ばせず。これで田嶋は出場した世界ユース全大会で表彰台に立つことが決まった。なおボルダリングとの二冠を達成したバーファインドはスピードでも4位につけており、3種目で好成績を残している。

 ユースA男子では今シーズンリードで日本ユース選手権優勝、アジアユース選手権2位の田中が世界ユースでも結果を出した。5番手で登場した田中は暫定1位が37+というなか、その高度を危なげなく通過。レストを入れながら慎重に登る田中は、終盤に差し掛かるところでダブルダイノを決めて観客を煽る場面も。そのままさらに高度を伸ばし、47+でフォール。大幅な高度更新に会場からは大きな拍手が湧き起こり、2位以下に大差をつけた田中が世界ユース初優勝に輝いた。

 一方、女子決勝は白石とブルック・ラバトゥによる米国勢同士の熾烈な争いとなった。準決勝でも1位白石、2位ラバトゥでぶつかり合うと、決勝ではさらに拮抗した登りを見せる。先に登るラバトゥはTOPホールドに手をかけるところまで到達し、残り2人で暫定1位につける。そして最終競技者の白石も最後の一手までたどり着いたが、同じくTOPホールドを掴み切れずにフォール。同スコアの44+となり、カウントバックで白石が優勝。世界ユース3大会連続のボルダリング、リード二冠という快挙を達成した。日本勢では惜しくも準決勝で敗退した小島果琳の10位が最高だった。

 これで3種目の全日程が終了。日本は昨年の9個を大幅に上回る17個のメダルを獲得(金6、銀6、銅5)し、国別でも2位米国の10個を大きく引き離している。そして本日からはオリンピックフォーマットである3種目複合のコンバインドがスタート。各種目の順位を掛け合わせポイントが少なかった上位選手(男女それぞれジュニア6名、ユースA20名、ユースB6名)が出場し、ユースAでは上位13名の出場国に来年10月のユースオリンピック出場枠が与えられる。日本からは出場国最多の14名が出場予定だ。

男子ユースA表彰台=左からネイサン・マーティン、田中修太、ミケル・アシエル・リナチチェロ・モリナ。

女子ジュニア表彰台=左から田嶋あいか、クレア・バーファインド、エロイーズ・デュモン。
 

<リード男子ジュニア・決勝>

1位 50+ 緒方 良行
2位 47+ 楢崎 明智
3位 40+ カイ・ライトナー(米国)
4位 39+ 中上 太斗
5位 35+ ナオ・モンショワ(フランス)※準決勝4位
6位 35+ アーセン・デュバル(フランス)※準決勝7位
7位 35 ルドルフ・ルアーナ(米国)※準決勝3位
8位 35 ウィリアム・ボシ(イギリス)※準決勝7位
9位 33+ サッシャ・レーマン(スイス)
10位 29 ユーゴ・パルマンティエ(フランス)
11位 24 イ・ミニョン(韓国)
12位 23 ヤニック・フローエ(ドイツ)
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13位 原田 海

<リード女子ジュニア・決勝>

1位 43+ クレア・バーファインド(米国)
2位 41+ 田嶋 あいか
3位 41 エロイーズ・デュモン(ベルギー)
4位 39+ ヴィクトリア・パーキンス(米国)
5位 39 マーゴ・ヘイズ(米国)
6位 38+ ハンナ・スラニー(イギリス)※準決勝3位
7位 38+ ミッシェル・フリガー(スイス)※準決勝8位
8位 22+ ジョアン・ブリンクマン(スイス)
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9位 高田 こころ

<リード男子ユースA・決勝>

1位 47+ 田中 修太
2位 41+ ネイサン・マーティン(フランス)
3位 37+ ミケル・アシエル・リナチチェロ・モリナ(スペイン)
4位 37 フィリップ・シェンク(イタリア)
5位 32+ サム・アベズー(フランス)
6位 29 ルイス・グンドルフ(オーストリア)
7位 24+ レオ・フェレーラ(フランス)
8位 22+ ステファン・シェルツ(オーストリア)
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9位 田嶋 瑞貴
9位 土肥 圭太
23位 中島 大智

<リード女子ユースA・決勝>

1位 44+ 白石 阿島(米国)※準決勝1位
2位 44+ ブルック・ラバトゥ(米国)※準決勝2位
3位 41+ ノルウェン・アーク(フランス)
4位 41 ラウラ・ロゴラ(イタリア)
5位 40+ サンドラ・レトナー(オーストリア)
6位 39+ キアラ・シャフラー(オーストリア)
7位 37+ セレナ・ショイブル(オーストリア)
8位 37 ヴァレンティナ・アグアド(アルゼンチン)
9位 31+ ジョルジア・テシオ(イタリア)
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10位 小島 果琳
33位 中村 真緒

コンバインド 出場予定選手

男子ジュニア/楢崎明智、緒方良行、原田海
男子ユースA/土肥圭太、田中修太、田嶋瑞貴
男子ユースB/川又玲瑛、抜井亮瑛、西田秀聖
女子ジュニア/田嶋あいか
女子ユースB/伊藤ふたば、谷井菜月、森秋彩、菊地咲希

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CREDITS

篠幸彦 / 写真 (公社)日本山岳・スポーツクライミング協会

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