是永敬一郎、W杯初優勝! 楢崎智亜も2戦連続の2位/リードW杯2017第7戦 中国・廈門大会

 10月14、15日、リードW杯2017シーズンの第7戦が中国・廈門で行われた。男子は是永敬一郎がW杯を初制覇し、楢崎智亜が2大会連続で銀メダルを獲得。女子はアナーク・バーホーベン(ベルギー)が今季初優勝。また、白石阿島(米国)がW杯4戦目にして初の表彰台となる準優勝に輝いた。

 女子は悪天候のため準決勝が中止となり、出場した日本女子3名を含む予選両ルート完登者の13名が決勝に進出。強風が吹き荒ぶ決勝では2番手に小武芽生が登場。小武は序盤から慎重かつ着実に登るが、22手目からのムーブに苦戦してフォール。続く白石は同地点を早々に越えると、TOPを視界に捉える35地点まで大幅に高度を伸ばした。後続がわずかに白石の記録に届かずフォールしていくなか、待ったをかけたのは今季未勝利のバーホーベン。35地点に到達したバーホーベンは、残りのホールドも確実に仕留め見事に完登。次のキム・ジャイン(韓国)が31+、最後のヤンヤ・ガンブレット(スロベニア)が33+でフォールし、昨季年間2位だったバーホーベンに待望の瞬間が訪れた。白石はW杯4戦目にして初の表彰台に立ち、日本人最高は野口啓代の6位だった。また、この結果を受け年間1位を独走していたヤンヤの2年連続となる年間女王が確定している。

 男子は雨風のため中断を挟みながら準決勝を実施。年間1位を走るロメイン・デグランジュ(フランス)が敗退という波乱も巻き起こるなか、日本勢からは是永、楢崎、藤井快の3人がファイナルに進出した。決勝は先頭の藤井が30地点のカチを止められずに落下。続く是永は38手目からのムーブで右手がスリップし、まだ余力を残しての悔やまれるフォールとなったが、大幅に高度を伸ばし首位に立つ。その後、7月のアジアユース選手権コンバインドで全種目優勝を果たしていた地元・中国の17歳、パン・ユーフェイが33に到達。新鋭が会心の登りで地元ファンを湧かせるも、前大会優勝のステファノ・ギソルフィ(イタリア)を含め後続がなかなか高度を伸ばせない。しかし7番手に登場した楢崎が34地点まで登り、2位に浮上。2大会連続の表彰台を確実にするとともに、是永も2位以上を確定させた。最後を登るボルダリングW杯今季王者のチョン・ジョンウォン(韓国)は31+で力尽き、是永がW杯初制覇という悲願を達成した。

 非常にコンディションの悪いなかで行われた今大会。女子はガンブレットが2年連続の年間女王を決め、男子は是永、楢崎がワンツーフィニッシュという快挙を成し遂げた。リードW杯における日本人男子の優勝は平山ユージ、安間佐千に次いで3人目となる。是永は11月18、19日に行われる最終戦のスロベニア・クラーニ大会の結果次第で年間ランキング2位の可能性もあり、最後まで目が離せない。

 

<リード女子・決勝>

1位:アナーク・バーホーベン(21/ベルギー)/TOP
2位:白石 阿島(16/米国)/34+
3位:ヤンヤ・ガンブレット(18/スロベニア)/33+ ※タイム差
4位:ジェシカ・ピルツ(20/オーストリア)/33+ ※タイム差
5位:ミナ・マルコヴィッチ(29/スロベニア)/33+ ※タイム差
6位:野口 啓代(28)/32+
6位:モーリー・トンプソン・スミス(19/イギリス)/32+
8位:キム・ジャイン(28/韓国)/31+
8位:ハンナ・シューベルト(オーストリア)/31+
10位:大田 理裟(24)/23+
11位:マチルド・ベセーラ(26/フランス)22+
11位:ジュリア・シャヌルディ(21/フランス)/22+
11位:小武 芽生(20)/22+

<リード男子・決勝>

1位:是永 敬一郎(21)/38+
2位:楢崎 智亜(21)/34
3位:パン・ユーフェイ(17/中国)/33
4位:チョン・ジョンウォン(21/韓国)/31+
5位:フェディル・サモイロフ(20/ウクライナ)/30+
6位:藤井 快(24)/29+
7位:ステファノ・ギソルフィ(24/イタリア)/26+
8位:チュー・ハイビン(25/中国)/17+
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11位:樋口 純裕(25)※準決勝進出
15位:緒方 良行(19)※準決勝進出
16位:波田 悠貴(20)※準決勝進出
29位:野村 真一郎(20)

リザルト詳細はIFSC大会ページから

CREDITS

篠幸彦 / 写真 (公社)日本山岳・スポーツクライミング協会

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