野中生萌も参戦。Red Bull Asura Exhibition Sessionが初開催

 レッドブルによる外岩コンペティション「Red Bull Asura Exhibition Session」が9月24日、三重県・熊野ボルダリングエリアにて開催された。このイベントには山形、東京、大阪、福岡で各カテゴリー(ファン・ミドル・オープン)を勝ち抜いた12チーム・36名に加え、レッドブル・アスリートの野中生萌率いるチームが参戦。約5時間にわたり外岩でのエキシビジョン・セッションが繰り広げられた。

 会場となったのは周りに杉並木が鬱蒼と茂る森林の中で、所々苔がむした巨大岩がいくつもそびえ立ち壮麗なオーラを漂わせる。岩の上にはDJブースが設置され、軽快に流れる音楽の中で選手たちは自然の岩と対峙。今まで体感したことがない斬新さと神秘的な雰囲気さえ感じさせた。



 用意された課題は、地元の紀南クライマーズ協会が中心となった開拓団がこのコンペのために整備した各カテゴリー10課題。同協会会長の尾畑真さんは「あまり大きくはないが、小さなエリアに良い課題がギュッと詰まっている」と太鼓判を押す。

 大会の特徴は女性1人以上を含む3人1組による男女混合のチーム戦というオリジナルフォーマット。このフォーマットを考案した野中は「男女が同じルール、環境で競うことは、他の競技ではできないこと。それがクライミングの魅力」と説明する。さらに「待機中のディスカッションや休憩の間隔など、チームとしてやるには3人の構成が丁度いい」と、日頃ジムで登る際に感じているという彼女ならではのアイデアが形となった。

 そんな全く新しい形で行われた大会は、個人完登数と初登数の合計で順位が付けられ、各カテゴリーの優勝チームを決定。初登者にはルートを命名できる権利も与えられた。ファンクラスを制覇したのは東京チーム。「初めての外岩だったけど、3人で色々考えて優勝できたのが嬉しい」とチーム戦だからこその喜びを語ると、残り5分まで優勝がわからないという接戦を演じたミドル優勝の福岡チームは「まさかここでも優勝できるとは」と話した。そしてユース含め日本代表も多く参加したオープンを制したのはリード代表・清水裕登らを擁する大阪チーム。優勝の要因に「男2人での6完登に加えて、(坂本)朱里ちゃんの4完登が大きかった」と女性の活躍を挙げ、男女混合の大会ならではのコメントを残した。



 自ら初登したルートを「角度によっては刀のように見えた」ことから『The Sword』と名付けるなどした野中はコンペを振り返り、「簡単な課題も難しい課題もすべてが楽しかった。みんな笑顔が絶えなくて、見ている私も嬉しくなった。自然の岩は決められたルートでなく、自分たちで攻略していくのが醍醐味で、まさにクライミングの原点。これを機に外岩へまた登りに来てもらい、広くクライミングを楽しんでもらえたら嬉しい」と新しいエリアの魅力を噛み締めながら、参加選手の楽しむ姿に笑顔を見せていた。

 ファンクラスの東京チームのように、このコンペが外岩初体験という選手が多く自然の岩の難しさに悪戦苦闘するシーンも見られた。しかしそれ以上にチームで励まし合い、助け合いながら登る姿、岩に触ることを楽しむ姿が印象的なコンペとなった。前夜祭で選手を激励に訪れた三重県知事の鈴木英敬氏と熊野市長の河上敢二氏両名が「Red Bull Asuraをきっかけに熊野が日本国内のボルダリングの聖地となっていく事に寄与したい」とコメントした通り、今回コンペが行われたエリアは「アシュラエリア(仮)」と名付けられ今後一般に公開される予定だ。

 

<リザルト>

ファン(8~5級)優勝/東京代表(個人完登数:27、初登数:2)

石井達也、桜井俊徳、石井葵

 
ミドル(4~3級)優勝/福岡代表(個人完登数:15、初登数:4)

佐藤彰、菅祥太、森本日菜

 
オープン(2級以上)優勝/大阪代表(個人完登数:16、初登数:1)

清水淳、坂本朱里、清水裕登

※野中チームは参考記録扱い。

Red Bull ASURA 公式ページ

CREDITS

取材・文 篠幸彦 / 写真 Jason Halayko/Red Bull Content Pool

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