ユースB女子表彰台=左から森秋彩、谷井菜月、伊藤ふたば(窪田美和子/アフロ)

日本、複合種目で新たに7個のメダルを獲得し大会を締めくくる/IFSC世界ユース選手権2017【コンバインド】

 9月9、10日、IFSC世界ユース選手権(オーストリア・インスブルック)のコンバインド各カテゴリー決勝が行われ、日本勢は新たに7個のメダルを獲得した。ユースBでは女子で谷井菜月が1位、森秋彩が2位、伊藤ふたばが3位と表彰台をまたも独占し、男子でも川又玲瑛が2位、西田秀聖が3位に。そしてジュニア男子では楢崎明智、緒方良行がボルダリング、リードに引き続きワンツーフィニッシュを果たしている。ユースAでは残念ながら日本のメダル獲得はならなかったが、日本人を両親に持つ白石阿島(米国)が銀メダルを手にした。

 オリンピックフォーマットであるコンバインドは、スピード、ボルダリング、リード各種目の順位を掛け合わせて勝敗を争う複合種目。今大会は各単種目がコンバインド予選を兼ねており、決勝には男女それぞれジュニア、ユースBから6名が、ユースAには20名が進出していた。このユースA上位13名の出場国には来年10月のユースオリンピック出場枠が与えられる。

 まず9日に行われたのが女子の出場6人のうち4人が日本人(伊藤、森、谷井、菊地咲希)となったユースB。ここで今大会ボルダリング、リードともに2位につけていた谷井が躍動する。第1種目のスピードで伊藤との日本人対決を逆転で制し1位スタートを決めると、第2種目ボルダリングでは全完一撃の森に続いて全完6アテンプト。最終種目のリードでも森と並んで完登を果たし、スピード1位×ボルダリング2位×リード1位(リードは森とポイントを分け合い1.5)で3ポイントとなった谷井が総合1位となり、国内外を通じた主要大会で初の金メダルを手にした。そして2位に森、3位には伊藤が入り単種目のボルダリング、リードに次いでコンバインドでも日本人が表彰台を独占した。

 ユースB男子には川又、西田、抜井亮瑛の3人が出場。スピードで抜井が1位、ボルダリングで川又が1位、リードで西田が1位となるも、安定して上位を重ねたロシアのオフチニコフが優勝。日本は川又が2位、西田が3位につけている。

 10日に行われたジュニアカテゴリー、男子には楢崎、緒方、原田海の3人が出場。ここでもボルダリング、リードで1、2位となった緒方と楢崎が激突する。まずはスピード決勝で楢崎が8.00という好タイムで緒方を退けると、続くボルダリングでもアテンプト数で上回った楢崎が連続で1位を奪取。最後のリードでは単種目王者の緒方が意地を見せて完登目前まで迫り1位を獲得。楢崎と合計ポイントで並ぶも、2種目で緒方を上回っていた楢崎が総合優勝、2位に緒方という結果となった。

 ジュニア女子ではボルダリングとリードを制した地元オーストリアのラウラ・シュテックラーが優勝。リード、ボルダリングの単種目二冠女王クレア・バーファインド(米国)はスピードの初戦でフォールしたことが尾を引き5位に沈み、唯一日本から出場した田嶋あいかは6位となった。

 大会最後に行われたのがユースA。男子は土肥圭太、田中修太、田嶋瑞貴の3人が出場。スピードで9位、ボルダリングで4位、リードで5位と健闘した土肥が総合5位に入り、田中が6位、田嶋は13位だった。総合優勝は、1位獲得はないものの全種目を高順位でまとめたフランスのサム・アベズーだった。

 ユースA女子決勝には日本勢の出場はなし。単種目二冠の白石阿島に注目が集まったが、第1種目スピードで13位と出遅れると、続くボルダリングでも最終第4課題のTOPを捉えることができずに3完登で4位。それでも白石は最終種目、得意のリードで最高高度を記録して総合2位でフィニッシュした。

 これで世界ユース選手権2017の全種目が終了。日本は金メダル8個、銀メダル9個、銅メダル7個、計24個のメダルを獲得し、獲得数は過去最多となった。種目別にみるとボルダリングで9個、リードで8個、コンバインドで7個を手にした一方、国内の施設整備が急がれるスピードでは0個となっている。

 国別ランキングでも2位アメリカ(金5、銀3、銅6、計14個)に大差をつけての1位となった日本。特にユースB女子のボルダリング、リード、コンバインドでの表彰台独占は世界に衝撃を与えただろう。タイトなスケジュールのなか実施された複合種目という貴重な経験も得た若き日本代表。未来に向け、その視界は良好だ。

ユースB男子表彰台=左から川又玲瑛、セミョーン・オフチニコフ、西田秀聖。

ジュニア男子表彰台=左から緒方良行、楢崎明智、カイ・ライトナー。
 

<リザルト・コンバインド決勝>

ジュニア男子(1998年、1999年生まれ)
1位:楢崎 明智
   4ポイント (S 1位/B 1位/L 4位)
2位:緒方 良行
   4ポイント (S 2位/B 2位/L 1位)
3位:カイ・ライトナー(米国)
   27ポイント (S 3位/B 3位/L 3位)
―――――
5位:原田 海
   96ポイント (S 4位/B 4位/L 6位)

※各種目順位で上回った回数の多い楢崎が優勝

ジュニア女子(1998年、1999年生まれ)
1位:ラウラ・シュテックラー(オーストリア)
   3ポイント (S 3位/B 1位/L 1位)
2位:ユリア・パンテリーワ(ロシア)
   10ポイント(S 1位/B 2位/L 5位)
3位:マーゴ・ヘイズ(米国)
   45ポイント(S 5位/B 3位/L 3位)
―――――
6位:田嶋 あいか
   96ポイント(S 4位/B 6位/L 4位)

ユースA男子(2000年、2001年生まれ)
1位:サム・アベズー(フランス)
   42ポイント (S 3位/B 7位/L 2位)
2位:フィリップ・シェンク(イタリア)
   67.5ポイント(S 15位/B 1位/L 3位)
3位:ピーター・イワノフ(ブルガリア)
   72ポイント (S 6位/B 3位/L 4位)
―――――
5位:土肥 圭太
   202.5ポイント(S 9位/B 4位/L 5位)
6位:田中 修太
   204ポイント (S 17位/B 12位/L 1位)
13位:田嶋 瑞貴
   1078ポイント(S 14位/B 11位/L 7位)

ユースA女子(2000年、2001年生まれ)
1位:サンドラ・レトナー(オーストリア)
   40ポイント (S 10位/B 1位/L 4位)
2位:白石 阿島(米国)
   52ポイント (S 13位/B 4位/L 1位)
3位:ブルック・ラバトゥ(米国)
   135ポイント(S 9位/B 3位/L 5位)

ユースB男子(2002年、2003年生まれ)
1位:セミョーン・オフチニコフ(ロシア)
   12ポイント(S 2位/B 2位/L 3位)
2位:川又 玲瑛
   18ポイント(S 3位/B 1位/L 6位)
3位:西田 秀聖
   24ポイント(S 6位/B 3位/L 1位)
―――――
4位:抜井 亮瑛
   30ポイント(S 1位/B 6位/L 5位)

ユースB女子(2002年、2003年生まれ)
1位:谷井 菜月
   3ポイント (S 1位/B 2位/L 1位)
2位:森 秋彩
   7.5ポイント(S 5位/B 1位/L 1位)
3位:伊藤 ふたば
   18ポイント (S 2位/B 3位/L 3位)
―――――
5位:菊地 咲希
   96ポイント (S 6位/B 4位/L 4位)

※S=スピード B=ボルダリング L=リード

<国別メダル獲得数ランキング>

1位:日本    24個(金8 銀9 銅7)
2位:米国    14個(金5 銀3 銅6)
3位:ロシア   15個(金4 銀7 銅4)
4位:イタリア   3個(金2 銀1 銅0)
5位:オーストリア 3個(金2 銀0 銅1)

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CREDITS

篠幸彦 / 写真 窪田美和子/アフロ&(公社)日本山岳・スポーツクライミング協会

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