ショウナ・コクシーが年間女王に輝く。男子年間優勝争いは日本勢に暗雲/ボルダリングW杯2017第6戦 インド・ナビムンバイ大会

 6月24、25日、インド・ナビムンバイで2017年のボルダリングW杯第6戦が行われた。男子はチョン・ジョンウォンが第5戦に続いて優勝し、杉本怜が2位で今シーズン初の表彰台に。女子もショウナ・コクシーが連覇を成し遂げ、最終戦の結果を待たずに2年連続となる年間優勝を確定させた。2位には野中生萌、3位には野口啓代が入り、3大会連続で日本勢2人が入賞を果たしている。

 まずは男子予選、復調の気配を見せる藤井快が唯一の全5完一撃でグループAをトップ通過すると、それに2アテンプト差の2位で楢崎智亜が続き、渡部桂太は3完登6アテンプトの10位とギリギリで突破する。グループBでは前回アメリカ・ベイル大会で3位と結果を残した緒方良行が5完登13アテンプトで3位、同2位だった楢崎明智が4完登6アテンプトで4位。また、堀創が7位、杉本が9位につけ、日本勢7人が準決勝へ進んだ。

 準決勝は2完登のアテンプト差勝負となり、予選トップの藤井が5アテンプトで2位通過。楢崎智と杉本が7アテンプトで決勝に残ったが、9アテンプトの緒方は7位でわずかに及ばず。年間ランキング1位をキープしていた渡部は1完登で8位敗退となった。

 決勝は、第1課題をアレクセイ・ルブツォフが2アテンプト、それ以外の5人が一撃でクリアすると、第2課題から明暗が分かれた。ルブツォフが4、杉本が2アテンプトで完登したが、3番手の楢崎はボーナスも掴めずに終わり、ヤコブ・シューベルトと藤井も失敗。悪い流れが続く中、6番手のチョンは2アテンプトで完登する。第3課題でもともに3アテンプトで完登したルブツォフと杉本に対し、あとの3人は完登できず。これをチョンが一撃し、メダルの行方は3人に絞られた。そして迎えた最終課題だったが、ルブツォフと杉本はスタートのホールドから先に進めず、チョンの結果を待たずして順位が決定。ウイニングクライムとなったチョンは6アテンプトで攻略し、全完登で2大会連続の優勝を飾った。2位は杉本。優勝した2013年ミュンヘン大会以来、自身2度目の表彰台である。

左から4年ぶりに表彰台に上がった杉本怜、チョン・ジョンウォン、アレクセイ・ルブツォフ

 女子は、日本勢4人が前回ベイル大会に続いて予選を難なく通過。準決勝は第1課題から出場20人がふるいにかけられる展開で、ボーナスから先に進めない選手が続出したものの、コクシーや野口、野中ら実力者は次々と一撃していく。そしてその中に食らいついたのが尾上彩だ。第3課題を6アテンプトを重ねながら完登すると、第4課題を2アテンプトで攻略。3完登9アテンプトで4位となり、第3戦・南京大会以来の決勝進出を果たした。野中は終始安定した登りで3位、野口は5位で決勝へ。小武芽生は6位のカーチャ・カディッチとボーナス獲得数でも並んだが、カウントバックで惜しくも7位敗退。初の4人全員決勝進出とはならなかった。

 決勝は第1課題を野口、野中、コクシーの3人が完登してリードする。第2課題はカディッチ、野口、尾上と3人連続でボーナスさえ掴めず完登は厳しいと思われたものの、野中が5アテンプトでボーナスを掴むとそのまま完登。次のペトラ・クリングラーもボーナスなしで終えたが、6番手のコクシーが5アテンプトで完登、野中の独走を許さなかった。第3課題でも野口、野中、コクシーがそろって一撃。この時点で、3完登7アテンプトで野中とコクシーが並び、野口も2完登3アテンプトでわずかながら優勝の可能性を残していた。

 最終課題、先に登る野口は後ろ2人にプレッシャーをかけたかったが、4アテンプトでボーナスを掴むにとどまり、優勝争いは野中とコクシーの一騎打ちに。しかし野中も、4トライ目でボーナスホールドに手をかけるのが精一杯で完登はならず。コクシーは4アテンプト以内でボーナスを掴めれば優勝という中、それを1トライ目であっさり達成。そして4トライ目、タイマーが「00:00」を示すのとほぼ同時にゴールを掴み、全完登で女王の貫禄を示しての優勝となった。尾上は決勝の課題に対応できず、0完登で6位に終わった。

二年連続年間女王に輝いたショウナ・コクシー。

 チョンとコクシーが2大会連続の優勝で他を圧倒する結果となった今大会。女子はコクシーが最終第7戦を残して年間優勝を決めた一方、野中、野口がまたも表彰台に立ったことで、今大会を欠場したヤンヤ・ガンブレットとの年間ランキング2位、3位争いが熾烈を極めている。

 男子では8位と失速した渡部が、年間1位の座をチョン(426ポイント)に明け渡し、さらにルブツォフ(372ポイント)にもポイントで並ばれてしまった。最終的には「7戦のうち最も成績の悪い大会を除いた6戦の合計ポイント」で順位付けされる年間ランキング。第6戦が終了した現時点で各選手のワースト大会ポイントを差し引いて算出すると、首位はやはりチョンで398ポイント、ルブツォフが365ポイントで続き、渡部が332ポイントで3位、楢崎智が324ポイントで4位となっている。最終戦は8月18、19日、舞台はドイツ・ミュンヘン。日本勢の大逆転に期待したい。

 

<男子・決勝>

1位 チョン・ジョンウォン(韓国/21)4t10 4b10
2位 杉本 怜(25)3t6 3b4
3位 アレクセイ・ルブツォフ(ロシア/28)3t9 3b8
4位 藤井 快(24)1t1 3b9
5位 ヤコブ・シューベルト(オーストリア/26)1t1 3b11
6位 楢崎 智亜(21)1t1 2b2
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7位 緒方 良行(19)
8位 渡部 桂太(23)
12位 楢崎 明智(18)
18位 堀 創(27)
21位 波田 悠貴(20)
23位 藤脇 祐二(21)
25位 原田 海(18)

<女子・決勝>

1位 ショウナ・コクシー(イギリス/24)4t11 4b8
2位 野中 生萌(20)3t7 4b11
3位 野口 啓代(28)2t3 3b7
4位 ペトラ・クリングラー(スイス/25)1t2 3b4
5位 カーチャ・カディッチ(スロベニア/21)0t 3b6
6位 尾上 彩(21)0t 1b5
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7位 小武 芽生(20)

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CREDITS

篠幸彦 / 写真 藤枝隆介

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